ブナ林の歴史的分布変遷がヒメオオクワガタの遺伝構造に及ぼす影響

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タイトル別名
  • Effects of historical distribution changes in Japanese beech forests on the genetic structure of <i>Dorcus montivagus</i>

抄録

<p>日本列島の植生の中核を成すブナ林は、第四紀の氷期-間氷期サイクルにともなう分布域の拡大縮小を繰り返し、現在のブナ林の分布様式の地域差とブナの地理的な遺伝構造を創出した。このようなブナ林の歴史的な分布変遷はブナ林に生息する生物種群の遺伝的多様性の創出にも強く影響したと思われるが、その影響を検証した研究は少ない。本研究ではブナ強依存のヒメオオクワガタの遺伝構造や集団動態を解明した。遺伝子解析の結果、ヒメオオクワガタは北海道、本州全域および四国の集団からなる系統と九州の集団からなる系統の2系統に大きく分化した。また各系統内においても日本海側と太平洋側に系統分化する傾向が認められ、ブナの遺伝構造と類似した。加えて生態ニッチモデル解析の結果、推測される両者の分布変遷は合致した。ヒメオオクワガタの集団間の遺伝的な分化は、地理的な距離よりもブナの歴史的な連続性の方がより良い相関が得られた。すなわち、ヒメオオクワガタはブナと同様の分布変遷を経て、その遺伝子流動スケールはブナ林の分布様式の地域差に制限されていることが示唆された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390010997597216640
  • DOI
    10.11519/jfsc.133.0_602
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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