住民と行政の連携による草地の管理-北九州国定公園平尾台の野焼きを事例に
書誌事項
- タイトル別名
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- Grassland Management by communities and government: A case of prescribed fire in Kitakyushu Quasi-National Park
説明
<p>本研究では、福岡県の北九州国定公園平尾台の草原を事例に、野焼きの意義の変遷と現代の野焼きを支える地域住民と行政が連携したシステムについて分析する。調査方法は地域住民、行政、関連企業への聞き取り調査と文献調査である。かつて平尾台は、江戸時代に牛馬の飼料や堆肥、茅葺きの屋根材などに使用する草本を採取する入会地として管理された。明治時代から戦後まで陸軍演習地とされた後、東谷地区(福岡県北九州市小倉南区)へ払い下げられた。現在は東谷地区の住民が野焼き委員会を結成し、防火帯の設置と野焼きを実施する。背景として昭和52年の人身事故から野焼きが中断された後、平尾台の安全管理には野焼きが必要だと地域住民から要請があり、平成5年に行政や企業と連携し組織だった野焼きが実施されるようになった。野焼きは、平尾台が採草地として利用されなくなった今も山火事の防止と景観維持、害虫駆除を目的に続けられている。地域の少子高齢化に伴い在来知を絶やさぬ工夫と、地域外のアクターとの協力を模索する必要があると考えられる。こうした状況にある平尾台をローカル・コモンズとして捉え、その管理手法としての野焼きについても考察を試みる。</p>
収録刊行物
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- 日本森林学会大会発表データベース
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日本森林学会大会発表データベース 133 (0), 97-, 2022-05-30
一般社団法人日本森林学会