アンジオクラインシステムによるがん増殖制御機構

  • 服部 浩一
    順天堂大学大学院医学研究科ゲノム・再生医療センター 東京大学医科学研究所附属病院血液腫瘍内科
  • 高橋 聡
    東京大学医科学研究所臨床精密研究基盤社会連携研究部門
  • 長田 太郎
    順天堂大学医学部附属浦安病院消化器内科
  • ベアテ ハイジッヒ
    順天堂大学大学院医学研究科バイオリソースバンク活用研究支援講座

書誌事項

タイトル別名
  • Roles of the angiocrine system in cancer progression

抄録

<p>これまでの研究で,血管新生におけるメタロプロテアーゼの活性化を通じた血液線維素溶解系(線溶系)の機能が解明されつつある.近年,生体内ホメオスタシスの維持機構の一環として,臓器特異的血管内皮が,臓器特異的アンジオクライン因子の産生供給を通じたアンジオクラインシステムの存在と,線溶系因子を含む酵素群を中心とした臓器・組織中のプロテオリティックニッチの概念が提唱された.筆者らは,がん増殖に伴う異常血管新生,血管内皮機能の異常に伴うアンジオクラインシステムの破綻が,がん・腫瘍性疾患の重症化,関連疾患病態の発生とその病勢制御に関与していること,そして一部のがん・腫瘍性疾患に対し,アンジオクライン因子を標的とした分子療法の可能性を提示した.本稿では,国内外の,線溶系因子を含むアンジオクラインシステムによるがん病態の制御機構の解明に関する研究動向について,筆者らの研究成果を交え,紙面の範囲内で概説する.</p>

収録刊行物

参考文献 (29)*注記

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