3.実験動物における眼科学的検査

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抄録

医薬品の安全性試験では、視覚器に対する影響を評価するために眼科学的検査が実施されている。眼球の基本的な構造はヒトも実験動物も同じであるが、動物によってはヒトには存在しない特有な構造を有する種もあり、解剖学的にも生理学的にも大きな種差がみられる。一般的な眼科学的検査では、散瞳処置前に対光反射及び肉眼検査を実施し、散瞳後に細隙灯顕微鏡(スリットランプ)を用いて角膜、虹彩、中間透光体(前房、水晶体、前部硝子体)を、また、倒像検眼鏡及び非球面レンズを用いて後部硝子体及び眼底を精査する。眼は免疫特権(immune privilege)を有し、これが破綻すると、自己免疫や感染に関連した内眼炎が発症しやすく、かつ重症で治癒しにくい特性を持った感覚器官である1)。また、眼にみられる自然発生の病変・所見は多々あり、被験物質投与時に発現する毒性所見と類似し、鑑別を要する場合も多い。さらに詳細な眼毒性の評価には、網膜電図検査(electroretinography: ERG)、光干渉断層検査(optical coherence tomography検査: OCT)、蛍光眼底造影検査、あるいは眼圧測定などの特殊検査の実施が必要となる。本稿は、我々が具体的に実践している各種実験動物(マウス・ラット・ウサギ・サル・イヌ)における主な眼科学的検査の実例を紹介するとともに、各検査で注意すべき点や動物種ごとで発生しやすい所見などを詳述する。また、今後の眼科学的検査担当者が担っていくべき役割についても提案したい。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390011086189209600
  • DOI
    10.50971/tanigaku.2017.19_61
  • ISSN
    24365114
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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