O-2-B-13 重症心身障害者の感覚刺激に対する反応と脳血流量の変化

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抄録

はじめに 覚醒が低い重症心身障害者(以下、重症者)では感覚遊びを行う中で反応を観察・評価することが難しい。今回、重症者に適した関り方・感覚入力の手掛りとして、感覚刺激時の表出反応(VTR)と脳血流の変化(光トポグラフィー)について検討した。 対象・方法 対象は日中覚醒度の低い重症者6名(男2、女4)で、年齢27〜69歳(平均47歳)、大島の分類1:4名、2:2名。うち、3名は視覚障害、1名は聴覚障害を有している。感覚刺激として触覚(刷毛で1右前腕と2右頬)、固有覚(バイブレーターで右頬)、視覚(フラッシュ照射9Hz)聴覚(クリック音70dB)、嗅覚(正露丸®)を各10秒間入力し、そのときの反応をビデオ撮影し、同時に光トポグラフィー(日立ETG-4000®)による脳血流の変化を測定した。VTRについては評価表(反応の乏しい重症者の療育とその評価法の確立より抜粋)を用いて分析し、光トポグラフィーについては反応のあったチャンネル数が平均以上のものを脳血流増加とした。 結果 触覚1:VTRで反応あり4/6名、脳血流の増加3/6名。反応がないまたは乏しいが脳血流増加2名。触覚2:VTRで反応あり4/6名、脳血流の増加4/6名。反応はないか乏しいが脳血流増加2名。固有覚:VTRで反応あり4/6名、脳血流の増加4/6名。反応は乏しいが脳血流の増加1名。視覚:VTRで反応あり5/6名、脳血流の増加6/6名。反応はないが脳血流増加1名。聴覚:VTRで反応あり6/6名、脳血流の増加3/6名。嗅覚:VTRで反応あり5/6名、脳血流の増加3/6名。反応はないが脳血流の増加1名。 考察・結語 VTRで反応がないまたは乏しいが脳血流の増加を示したケースがいた。特に、視覚刺激では視覚障害を有する例がいたにも拘らず全例で脳血流の増加が見られた。光トポグラフィーは感覚入力を考える上でなんらかの情報を与えているものと思われ、今後、刺激の種類のみならず脳血流の変化パターンなどを検討しより良い感覚入力につなげたい。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390011086189356160
  • DOI
    10.24635/jsmid.37.2_292_1
  • ISSN
    24337307
    13431439
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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