O-1-B-18 風に吹かれた股関節ねじれ型の新たな分類
書誌事項
- タイトル別名
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- −股関節脱臼の関連性とポジショニングの再考−
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説明
はじめに 重症心身障がい児者に生じる「風に吹かれた股関節」には、「同側型」と「ねじれ型」の2類型があり、それぞれ異なるアプローチが今川により報告されている。しかし当施設でGoldsmith値とその類型を調査した際に、「ねじれ型」の中に上側下肢を起こしても骨盤がすぐには回旋しない群と、上側下肢を起こすとともに骨盤の回旋が始まる2群に分類可能であることが明らかになった。今回、当施設入所者の風に吹かれた股関節の類型比率と股関節脱臼との関連性を調査し、ポジショニングについても再考したので報告する。 対象者と方法 GMFCSレベルIV〜Vの利用者36名(男性22名、女性14名、平均年齢41±27歳、股関節脱臼者17名)Goldsmith計測手技を用いて計測し、従来の「同側型」、上側下肢を起こすと両下肢間20°までは骨盤の回旋が起こらない「非回旋型」、上側下肢を起こすと両下肢間20°までに骨盤の回旋が始まる「回旋型」の3つに分類した。本研究に関しては倫理委員会の許可を得ている。 結果・考察 類型比率は「同側型」31%、「非回旋型」52%、「回旋型」17%となった。各類型と股関節脱臼の発生比率は、「同側型」20%、「非回旋型」45%、「回旋型」100%と大きな差が認められた。今回新たに分類した「非回旋型」の上側下肢の可動性が比較的保たれている原因として、痙性麻痺の左右差や不随意運動により上側下肢の機能が高かったことが考えられる。ポジショニングを再考すると、従来の「ねじれ型」に対して行ってきた側臥位ポジショニングに加えて、上側下肢の可動性が保たれているため、上側下肢を骨盤の回旋が始まるまで起こす方法も可能であり、それにより上側股関節脱臼の予防も可能となると思われる。重症心身障がい児者にとって姿勢の多様性を1つでも多く準備することは重要であり、「非回旋型」に対するポジショニングを再考することは意義深いと思われる。
収録刊行物
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- 日本重症心身障害学会誌
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日本重症心身障害学会誌 37 (2), 274-274, 2012
日本重症心身障害学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390011086194952064
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- ISSN
- 24337307
- 13431439
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可