4.BCOP法におけるIVISと病理組織所見の関連性

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  • −弱刺激性評価基準の確立に向けて−

抄録

牛摘出角膜を用いる混濁度及び透過性試験法(Bovine Corneal Opacity and Permeability test, BCOP法)はウサギを用いる眼刺激性試験(Draize法)の代替法としてMuirの試験法1)を元にして開発され、エンドポイントとして角膜の混濁度と透過性を設定することでin vivo試験との相関性を高めることが出来ることが確認された2)。その後、多施設間のバリデーション試験を経て2009年に経済協力開発機構(OECD)の化学物質に関するテストガイドライン(TG437)に採択された3)。当初はUnited Nations Globally Harmonized System of Classification and Labeling of Chemicals(UN GHS区分)の区分1(腐食性・強度刺激性)を判定するTop Down Approachの試験法としての採択であったが、2013年には、UN GHS区分の区分対象外(無刺激性)を判定するBottom Up Approachの試験法としても認められた4)。また、日本国内では、2014年に厚生労働省より「眼刺激性試験代替法としての牛摘出角膜の混濁および透過性試験法(BCOP)を化粧品・医薬部外品の安全性評価に資するためのガイダンス」が発出され5)、申請資料として使用することが出来るようになった。BCOP法は新鮮な角膜を用いているためDraize法での評点関与が大きい角膜への作用を直接的に評価することが可能であること、完成された眼球組織が物理的な強度を有しているために水に難溶な被験物質に対する許容範囲が広いなどの多くの利点がある。BCOP法の弱刺激性の評価については、in vitro刺激性スコア(in vitro irritancy score, IVIS)のcut-off値として3、25、55(他案として75)が提唱され、3以下が区分外、3.1~25が軽度の刺激性、25.1~55が中等度の刺激性、55.1以上が強刺激性と区分する予測モデルが示された6)。しかしながら、TG437では、cut-off値として3と55が採用されており、ニワトリ摘出眼球を用いた眼刺激性試験(Isolated Chicken Eye test: ICE)、短時間曝露試験法(Short Time Exposure test: STE)、EpiOcularTMを用いた眼刺激性試験(EpiOcular-Eye Irritation Test: EIT)等の他の眼刺激性試験代替法と同様にUN GHS分類の2A(Draize試験において21日間で完全に回復する眼の損傷)あるいは2B(Draize試験において7日以内に回復する眼の損傷)に相当する弱刺激性物質の判定が出来ないことが課題となっている。弊社ではOECDのTG437が発出されたことを受け、2011年よりBCOP法のバリデーション試験を開始し、2012年4月より受託試験を実施しているが、同時に多くの被験物質について検討を重ね、病理組織学的検査を組み合わせることで弱刺激性物質の判定基準を定めるための検討を続けてきた。ここでは、これまで弊社で取り組んだ希釈液、混合物及び製品(化粧品・医薬部外品)を含む117物質の検討結果より得られた弱刺激性物質評価についての考え方を紹介する。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390011086200910080
  • DOI
    10.50971/tanigaku.2017.19_68
  • ISSN
    24365114
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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