P-1-D1-13 「風に吹かれた股関節」変形の増悪予防に対する夜間ポジショニングの有効性

DOI
  • 小林 愛
    東京都立東大和療育センター リハビリテーション科
  • 伊藤 久美子
    東京都立東大和療育センター リハビリテーション科
  • 清水 義之
    東京都立東大和療育センター リハビリテーション科
  • 栗山 康子
    東京都立東大和療育センター リハビリテーション科
  • 酒井 理恵
    東京都立東大和療育センター リハビリテーション科

抄録

はじめに 2006年からこれまで、病棟と連携して夜間ポジショニングを実施した。この取り組みを後方視的に検討し報告する。 目的 「風に吹かれた股関節」変形の増悪予防に対する夜間ポジショニングの経過を振り返りその有効性を検討する。 対象者 当センターに長期入所しているAさん(61歳男性)診断名:脳性麻痺・精神遅滞、GMFCS:V、太田stage:III-1 方法 1.ケース会資料・病棟経過記録などから、ポジショニングに関する経過を3期に分けてまとめた。2.「風に吹かれた股関節」変形は、Goldsmith指数を用いて評価した。 結果 1. 検討期(昼間ポジショニングの検討および夜間ポジショニングの試行): 病棟職員と「風に吹かれた股関節」変形に関して共通認識を持ち、方向性を統一することが必要と考え、病棟グループ会に参加した。病棟職員は夜間ポジショニングに対する抵抗感があったのでまずは昼間のポジショニングを導入し、対称的な姿勢でいる時間は1日6時間となった。しかし約2年後、Goldsmith指数は16度→31度へ増悪した。 2. 導入期(夜間ポジショニングを毎日行った期間): 昼間だけでは「風に吹かれた股関節」変形が増悪したので、夜間のポジショニングも導入となった。その結果、対称的な姿勢でいる時間は1日15時間となった。約1年後、Goldsmith指数は31度→16度と改善した。 3. 維持期(本人の姿勢保持具を工房で作成してから現在まで): ポジショニングを継続し、約2年後、Goldsmith指数は16度→4度とさらに改善がみられた。 考察 夜間ポジショニングの導入にあたって病棟職員との共通認識を持てるよう努力した。その結果、夜間ポジショニングを3年以上継続できている。夜間ポジショニングは対称的な姿勢でいる時間を1日5時間から15時間と大幅に増やすことができた。対称的な姿勢を長時間確保することで、61歳でも「風に吹かれた股関節」変形を改善・増悪予防させることができると示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390011086207218048
  • DOI
    10.24635/jsmid.37.2_317_1
  • ISSN
    24337307
    13431439
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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