機能性近赤外蛍光プローブにより生体内での薬剤放出を可視化

DOI
  • 山口 藍子
    テキサス大学ヘルスサイエンスセンターヒューストン校

抄録

抗体薬物複合体(antibody-drug conjugate: ADC)開発は近年飛躍的進歩を遂げている.ADCは抗体にリンカーを介して薬物を結合させた分子であり,その有効性や安全性にはリンカーの分子設計が大きく寄与する.Usamaらは,リンカーの切断効率や切断部位を生体内で可視化し,定量評価を可能とする機能性近赤外蛍光プローブを開発した.<br>スルホン酸修飾ノルシアニン(Sulfo-NorCy7)は生理的pHでは蛍光を発せず,リソソーム内など弱酸性条件下でプロトン化されると近赤外蛍光プローブへと変化する.著者らは本システムを応用し,薬物の代わりに抗体と結合させることで,ADCからの薬剤放出を間接的に評価できると考えた.まず,Sulfo-NorCy7の細胞内蛍光シグナル増強に向け,種々の誘導体を作製した.その結果,三級アミンを有し,高いリソソーム滞留性と細胞集積性を示すN-Me-NorCy7を見いだした.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Drago J. Z. et al., Nat. Rev. Clin. Oncol., 18, 327-344(2021).<br>2) Usama S. M. et al., J. Am. Chem. Soc., 143, 21667-21675(2021).<br>3) Usama S. M. et al., J. Am. Chem. Soc., 43, 5674-5679(2021).

収録刊行物

  • ファルマシア

    ファルマシア 58 (7), 723-723, 2022

    公益社団法人 日本薬学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390011108724263424
  • DOI
    10.14894/faruawpsj.58.7_723
  • ISSN
    21897026
    00148601
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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