リトドリン塩酸塩による膿疱型薬疹の1 例

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タイトル別名
  • A Case of Drug Eruption(Pustular type)Due to Ritodrine Hydrochloride
  • リトドリン エンサンエン ニ ヨル ノウホウガタヤクシン ノ 1レイ

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抄録

<p>27 歳,女性。切迫早産に対し妊娠 24 週からリトドリン塩酸塩内服を開始し 28 週から増量された。29 週に両上肢に紅斑が出現し,その後皮疹が全身に拡大し膿疱を伴うようになった。初診時全身に浮腫性紅斑と多数の小膿疱を認め,膿疱を含む紅斑部からの皮膚生検では表皮内に Kogoj 海綿状膿疱を認めた。細菌培養検査は陰性であった。リトドリン塩酸塩を中止し,プレドニゾロン(PSL)30 mg(≒0.5 mg/kg/day)内服を開始したところ皮疹は消退傾向となったため PSL は 19 日間で減量中止とした。切迫早産の症状は落ち着いており,以降の妊娠経過中は切迫早産に対する薬剤は使用されなかった。その後は皮疹の再燃なく経過し出産後の産褥期も含めて再発はみられなかった。薬剤リンパ球刺激試験は陰性であったが,治療経過やリトドリン塩酸塩による膿疱型薬疹の報告が多数あることから同薬剤による膿疱型薬疹と考えた。膿疱型薬疹と急性汎発性発疹性膿疱症(acute generalized exanthematous pustulosis;AGEP)は重複部分があり,自験例は発熱の項目を除き AGEP の診断基準を満たしていた。今回は膿疱型薬疹と診断したが,自験例のような症例は AGEP の不全型ないし軽症型として定義することを検討すべきと考えた。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 84 (3), 194-197, 2022-06-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (2)*注記

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