Weekly Paclitaxel+Bevacizumab療法中に下腸間膜動脈に形成した仮性動脈瘤の破綻により大量出血をきたした1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of massive bleeding due to the rupture of a pseudoaneurysm formed in the inferior mesenteric artery during Weekly Paclitaxel+Bevacizumab therapy
  • Weekly Paclitaxel+Bevacizumab リョウホウ チュウ ニ カチョウカンマク ドウミャク ニ ケイセイ シタ カセイ ドウミャクリュウ ノ ハタン ニ ヨリ タイリョウ シュッケツ オ キタシタ 1レイ

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抄録

<p>Bevacizumab(以下Bev)には腫瘍における微小血管の退縮と血管新生の抑制による抗腫瘍効果や,腫瘍組織で亢進した血管透過性を改善し,間質圧を低下させることで薬物の移行性が高まることによる併用薬剤の増強作用があるとされている.一方,その副作用としては頻度の高いものとして,高血圧や蛋白尿の他に消化管・肺・粘膜からの出血や創傷治癒遅延などが報告されている.weekly paclitaxel(以下wPTX)+Bev療法中に下腸間膜動脈に形成した仮性動脈瘤が破綻して結腸と交通し大量の下血を起こしてショック状態になった症例を経験したので報告する.症例は39歳,0妊0産,未婚女性,卵巣漿液性癌IIIc期であった.初回計7サイクルのdocetaxel+carboplatin療法とinterval debulking surgeryとして単純子宮全摘術,両側付属器切除術,骨盤・傍大動脈リンパ節郭清および,大網部分切除を実施し,complete surgeryを達成した.初回治療終了から7カ月でリンパ節と肺野に再発したため,各種抗癌剤治療を実施し,担癌状態で初回治療から5年が経過した.その後,wPTX+Bev療法を開始した.4サイクル目day15,大量の下血をきたし転倒,ショック状態であった.造影CT検査にて下腸間膜動脈形成された仮性動脈瘤が腫瘍を介して結腸表面に接しており,破綻したために,結腸内に持続的に出血していることが判明した.腫瘍は縮小しており,治療効果を認めていた.左結腸動脈分岐より末梢から下腸間膜動脈の動脈瘤より中枢をマイクロコイルで塞栓し止血した.Bev投与中の仮性動脈瘤の破綻による大量出血はまれだが,進行した病変を有する症例に投与する際には注意すべき病態であることが示唆された.止血方法としてはIVRが有用であると考えられた.〔産婦の進歩74(3):360-365,2022(令和4年8月)〕</p>

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