膀胱皮膚瘻造設により反復性尿路感染症の改善と生活の質の向上が得られた13トリソミーの1例

  • 松岡 雄一郎
    島田療育センターはちおうじ 神経小児科 医師
  • 小沢 浩
    島田療育センターはちおうじ 神経小児科 医師
  • 小出 彩香
    東京都立小児総合医療センター 神経内科 医師

書誌事項

タイトル別名
  • Improvement of recurrent urinary tract infection and quality of life by creation of a vesicostomy in a patient with trisomy 13.
  • 症例報告 膀胱皮膚瘻造設により反復性尿路感染症の改善と生活の質の向上が得られた13トリソミーの1例
  • ショウレイ ホウコク ボウコウ ヒフロウゾウセツ ニ ヨリ ハンプクセイ ニョウロ カンセンショウ ノ カイゼン ト セイカツ ノ シツ ノ コウジョウ ガ エラレタ 13 トリソミー ノ 1レイ

この論文をさがす

説明

症例は25歳13トリソミーの重症心身障害者(以下、重症者)である。致命的な合併症のない長期生存例だが、幼児期から反復性の尿路感染症に苦しめられ、18歳時から清潔間欠導尿(clean intermittent catheterization:CIC)による管理を開始した。しかし、CICは本人、家族に負担が大きく継続が困難となり、反復性尿路感染症はさらに増悪し、上部尿路機能障害進行も懸念される状態となったため、管理不能と評価し24歳時に膀胱皮膚瘻(cutaneous vesicostomy)造設となった。以後、現在まで2年間、尿路感染症罹患は一度もなく、管理は医療行為を含まない簡便なものとなり、生活の質の著明な向上が得られている。重症者の長期のCIC継続は、本人および介助者たる家族の生活の質の低下が大きな課題となり、管理効果も確保できなくなることが懸念される。膀胱皮膚瘻は、持続的尿失禁の状態となる単純な尿路変向術であるが、導尿やカテーテル留置が不要であり、高い尿路感染症予防効果、管理の簡便さに特に利点が大きく、重症者の反復性尿路感染症において、検討される価値の高い選択肢である。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ