1910年代「親爺教育」の「カトゥーン」スタイル とスラップスティック

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タイトル別名
  • “Cartoon” Style and Slapstick in <i>Bringing Up Father</i> in the 1910s

抄録

先行研究によれば,ジョージ・マクマナスの新聞マンガ「親爺教育」は連載の最初期こそ侮蔑的なアイルランド人表象を含むものとして描かれていたが,その後まもなく,従来のアイルランド人の造形的な記号が用いられなくなった。また物語内容の点でも,主人公のジグスが単に笑いものにされるキャラクターでなく,むしろアメリカ人のオルタナティヴ・イメージを提示し,アイルランド系アメリカ人がより受け入れやすいアイデンティティの形成に資するものとなった。本稿では,先行研究のこれらの指摘に加えて,キャラクターの描画スタイルがより「カトゥーン」的になったこと,および1915年頃から物語のスラップスティックの度合いが増したことを重要な変化として指摘したい。本稿は,このマンガが単にアイルランド系アメリカ人の姿を象徴するだけでなく,現実を離れ純粋に絵の水準でも読者を楽しませたと主張する。「親爺教育」をエスニシティとは異なる文脈で評価できることは,このマンガがアメリカ国外で広く受け入れられた理由を説明することにつながる。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390011495266326528
  • DOI
    10.24577/seia.54.0_91
  • ISSN
    24239313
    21875235
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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