東北福祉大学所蔵 難波孫次郎作「一仏両祖像」および「聖僧文殊坐像」

書誌事項

タイトル別名
  • Ichibutsu Ryoso and Shoso Monju by Namba Magojiro at Tohoku Fukushi University
  • トウホク フクシ ダイガク ショゾウ ナニワ ソン ジロウサク 「 イチブツ リョウソゾウ 」 オヨビ 「 セイソウ モンジュ ザゾウ 」

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説明

東北福祉大学の構内には宗教教育実践の場として法堂と坐禅堂が建ち、法堂にはもと福聚殿(講堂兼体育館)安置の「一仏両祖像」(昭和四十九年)、坐禅堂には「聖僧文殊坐像」(昭和五十三年)を本尊として祀る。これらは日展を中心に活動した彫刻家・難波孫次郎(一九一四〜二〇一〇)によって制作されたもので、日本の古典的な仏像表現を基盤としながら、近代彫刻の人体表現を取り入れた、力強い量感をもつ造形である。難波は昭和三十九年の駒澤大学講堂兼体育館本尊「一仏両祖像」を皮切りに数件の仏像を制作しており、中でも駒澤大学と東北福祉大学の一仏両祖像は大変よく似た像容を示す。昭和四十三年、東北福祉大学学長に就任した大久保道舟は「大学に魂を入れること」を自らの公案とし、「魂の拠りどころ」として福聚殿と一仏両祖像を、また魂を磨く道場として坐禅堂と聖僧文殊像を設置しようと発願した。一仏両祖像の造立に当たっては、同じく曹洞宗門の駒澤大学像から着想を得たものと考えられ、相応しい人物として作者の難波が任命されたのであろう。「すぐれた仏像は姿、形と同時にその心が表現されねばならない」とする難波の言葉は、大久保の造立発願の意図と重なって見える。東北福祉大学における造仏事業の背景には、「各種の施設などを通じて漸次学生の宗教意識を高め、真箇の社会福祉に徹した従事者を養成」するという強い意志があったのである。

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