ヒトiPS細胞由来心筋細胞のβアドレナリン受容体シグナル調節の解析

  • 國井 渉
    静岡県立大学薬学部・生体情報分子解析学分野
  • 山口 賢彦
    静岡県立大学薬学部・生体情報分子解析学分野
  • 坂本 多穂
    静岡県立大学薬学部・生体情報分子解析学分野
  • 黒川 洵子
    静岡県立大学薬学部・生体情報分子解析学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Analysis of β-adrenergic receptor signaling in contractile function of human iPS cell-derived cardiomyocytes

説明

<p>医薬品開発における非臨床安全性試験での心毒性評価に、ヒトiPS細胞由来心筋細胞(ヒトiPS心筋)を応用することが国際的に期待されている。このヒトiPS心筋は幹細胞からの心臓の発生を模倣して分化を誘導するが、全てのiPS細胞を均一に成熟化するのは困難であり、細胞特性にばらつきがある。特に、心臓薬の標的として重要なβアドレナリン受容体シグナルへの反応性が細胞株や作製法により大きく異なる点が、品質管理上の課題となっている。今回、拍動心筋の力学的機能を高感度に評価する動きベクトル法(Motion Field Imaging:MFI)を用い、ヒトiPS心筋のβアドレナリン受容体シグナル調節のばらつきを評価することを目的とし、マーカー特異的作動薬および阻害薬の反応性を定量的に解析した。2種類の市販ヒトiPS心筋細胞株(iCell-CM, iCell-CM 2, CDIJ Fujifilm)を培養し、倒立顕微鏡上にて拍動心筋細胞の動画を撮影した(37℃, 5%CO2, 150f/s)。心房・幼若マーカー(MLC2a)および心室マーカー(MLC2v)を用いた細胞免疫染色により、細胞型を識別し、動きベクトル解析(SI8000 システム、Sony IP&S)の結果と照合した。市販しているiCell-CMの収縮・弛緩速度には、MLC2v型とMLC2a型の間で新生児マウス心室・心房筋と同様の差がみられたが、iCell-CM2では有意差はなかった。また、βアドレナリン性受容体刺激に対する応答性のばらつきにも株間差が検出された。以上、シングルセルレベルの解析がiPS細胞由来心筋細胞の品質評価に有用であることが示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390011716213145600
  • DOI
    10.14869/toxpt.49.1.0_p-44s
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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