微量変異原性不純物として検出されたニトロソアミン類の変異原性及び発がん性ポテンシャルに応じた管理のための条件の検索

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  • Research on the conditions for management of nitrosamines based on their mutagenicity and carcinogenicity potential

抄録

<p>近年、遺伝毒性発がん物質として知られるニトロソアミン類が医薬品不純物として混入することが国際的に問題となっている。本研究では、種々のニトロソアミン類の変異原性及び発がん性ポテンシャルに応じた管理が可能かを検討するため、Ames QSAR解析により陰性と推定された物質を対象に、それらの変異原性及び発がん性について既存の有害性情報に基づき分析した。はじめに、Lhasa社Carcinogenicity Databaseから検索ワードN-nitrosoあるいは構造情報(R1N(-R2)-N=O)で出力された発がん性試験情報の存在する物質及び欧米にて管理値が設定されている物質(計142物質)を対象に、3種のモデル(Lhasa社 Derek Nx 6.1.1 (Nexus 2.4.0)、MultiCASE社 Case Ultra GT1_BMUT 1.8.0.1、OASIS/Times 2.30.1.11)を用いてAmes QSAR解析を行い、本検討の対象とする15物質を抽出した。これらの物質について、Ames試験等の遺伝毒性試験情報及び発がん性試験情報を収集し、信頼性が担保され入手可能な情報があった場合はAmes QSARの結果及び発がん性試験結果の妥当性検証と発がん性機序の確認を行った。現在までに、Ames実試験結果から陰性と判断できたのは4物質あり、そのうちNitrosodiphenylamineは、3つのQSARモデルで陰性と推定され、雌雄ラットに膀胱の移行上皮過形成及びがんを誘発したことから発がん物質であると考えられた。また、環状構造に2つのSを有するN-Nitrosodithiazine及びN-Nitrosothialdineは、Ames実試験の情報が入手できずQSARの結果の妥当性を確認できなかったが、1用量で実施されたラット発がん性試験において腫瘍の発生状況が異なっていた。調査の結果、これら3物質の発がん性は、ニトロソアミン類で一般的に知られるα水酸化やDNAのアルキル化とは異なる機序(トランスニトロソ化等)であることが示唆されていた。このような機序の相違等が、発がん性ポテンシャルに応じたニトロソアミン類管理のための条件を見出す着目点になることが考えられた。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390011716213212800
  • DOI
    10.14869/toxpt.49.1.0_p-258
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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