in vitro 精子形成による精巣毒性評価
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- 小川 毅彦
- 横浜市立大学
書誌事項
- タイトル別名
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- In vitro spermatogenesis for toxicity testing
抄録
<p>精原細胞の増殖、精母細胞の減数分裂、精子細胞の形態変化・核内構造変化という様相の異なる細胞分化からなる精子形成の全過程を体外で再現することは極めて難しい。私たちはマウス精巣組織片を気相液相の境界部で培養することで、それらの過程を再現し、妊孕能のある精子・精子細胞の産生に成功した。ただし、その効率は低く、生体内精子形成には遥に及ばないというのが現実である。また、マウス以外の動物への応用は遅々として進展していない。私たちは、マウスで成功した手法を詳細に検討し、特に培養液の組成を解析して、in vitro精子形成に有用な物質群を同定した。それらのうちの代表的なものは、レチノイン酸(Vit. A)、トリヨードサイロニン(T3)、αトコフェロール(Vit. E)、アスコルビン酸(Vit. C)、グルタチオン、リゾリン脂質、などである。これらの因子を加えた新しい培養液を用いてラット精巣組織片を培養し、ラットin vitro精子形成に成功した。また、培養組織片のなかで生じる部位毎の不均一性を解消するために、シリコーン樹脂(PDMS)を小さな板状に加工したチップを作成し、これを精巣組織片に被せる培養法を開発した。これにより、精巣組織片は規定の厚さ(特に、精細管1本分の厚さ)の平板状にすることで、精巣の成長とその後と精子形成を精密かつ簡便に評価することができるようになった。そのような定量化可能なin vitro精子形成を精巣毒性評価に応用する試みを紹介する。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 49.1 (0), S37-4-, 2022
日本毒性学会