Comparative Thyroid Assay:発達神経毒性ポテンシャルの<i>in vivo</i>スクリーニング試験としての周産期曝露による母児ラットの甲状腺ホルモン影響比較試験の現状

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タイトル別名
  • Comparative Thyroid Assay: Current situation of a short-term <i>in vivo</i> assay for thyroid hormone disrupting activity in maternal rats and their offspring as prescreen for potential developmental neurotoxicity

抄録

<p>甲状腺ホルモン(TH)は脳発達に必須であり、母親の血中TH濃度の過度な低下で児の脳発達障害が生じることがヒトや実験動物で知られている。化学物質にはTHの合成阻害や代謝・排泄促進作用を介して血中TH濃度を下げるものがあり、これらの化学物質の周産期曝露によって児の脳発達障害の発生が懸念されている。強力なTH合成阻害作用を有する抗甲状腺薬とは異なり、肝臓の代謝酵素誘導を介してTH代謝・排泄を促進する場合、血中THの低下は比較的軽度であるが、この様な化学物質の脳発達への影響は充分には調べられていない。発達神経毒性(DNT)の有無を特定するガイドライン試験を実施するには多大な資源を要することから、米国環境保護庁が提唱する周産期投与での母児ラットの血中TH濃度への影響比較試験Comparative Thyroid Assay(CTA)がDNTスクリーニング試験として有望視される。しかし依然として多数の動物を要し、また胎児や新生児からの限られた血液試料の採取やその測定などの技術力が試験結果に影響する可能性も多分にある。我々は、簡便で適切に評価できる試験法を目指して、供試動物を減らしたCTAにおいて、児の脳のTH濃度や病理検査を追加観察する試験系の実行可能性や信頼性の検証に着手した。これまでにTH合成阻害剤6-propylthiouracil (PTU)や肝代謝酵素を誘導するphenobarbital (PB)を供試したところ、PTUの結果から改良型CTAは児動物でのTH攪乱作用の短期in vivo試験として実行可能であり信頼性もあることが示唆された。また、PTUとは対照的に、母動物で軽度な血中TH低下をきたすPBの様な化学物質では児動物の脳の発達には影響しないことが示唆されたが、類似物質での再現性確認などさらなる研究が必要である。本発表では我々の研究の概要と今後の展望や課題を紹介する。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390011716213357312
  • DOI
    10.14869/toxpt.49.1.0_s43-4
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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