社会的・国際的にみたビタミンの役割

  • 田中 清
    神戸学院大学栄養学部 静岡県立総合病院リサーチサポートセンター
  • 桒原 晶子
    大阪府立大学地域保健学域総合リハビリテーション学類 栄養療法学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Role of vitamins from the societal and international perspectives
  • シャカイテキ ・ コクサイテキ ニ ミタ ビタミン ノ ヤクワリ

この論文をさがす

抄録

2016年から2025年の期間は、「国連 栄養のための行動の10年」と宣言された。ビタミンは、途上国では欠乏症の予防、先進国では不足解消による疾患リスク軽減と、いずれにおいても重要な役割を果たす。<br> Universal health coverage (UHC) は、途上国・先進国のいずれにおいても、持続可能な開発目標(sustainable developmental goals,SDGs) の重要な要素である。UHCに関して日本は先進的な国であり、長寿と関連している。しかしUHCの維持・発展のためには、多額の費用が必要である。高価な薬剤による治療は、高リスク者に対しては正当化され得るが、低~中リスク者にはそうではなく、栄養改善や運動による一次予防がその対策となる。薬物療法と異なり、栄養改善は複数の疾患リスクを軽減できるという利点もある。すなわちビタミンは、途上国・先進国のいずれにおいても、低コストで重要な役割を果たし、UHCやSDGsの概念に合致するものである。<br> 結論として、ビタミンは世界的に健康増進や疾患予防を行うことができ、臨床的・疫学的研究の遂行や、市民や行政に対する広報が必要である。

収録刊行物

  • ビタミン

    ビタミン 95 (8), 369-372, 2021-08-25

    公益社団法人 日本ビタミン学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ