Gタンパク質共役型受容体を標的としたコバレント創薬

  • 近藤 萌
    九州大学大学院 薬学研究院 生理学 九州大学大学院 医学研究院 病態修復内科学
  • 西山 和宏
    九州大学大学院 薬学研究院 生理学
  • 西村 明幸
    自然科学研究機構生理学研究所(生命創成探究センター)心循環シグナル研究部門
  • 加藤 百合
    九州大学大学院 薬学研究院 生理学
  • 西田 基宏
    九州大学大学院 薬学研究院 生理学 自然科学研究機構生理学研究所(生命創成探究センター)心循環シグナル研究部門

書誌事項

タイトル別名
  • Covalent drug discovery targeting G protein-coupled receptors
  • Gタンパクシツ キョウヤクガタ ジュヨウタイ オ ヒョウテキ ト シタ コバレントソウヤク

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説明

<p>Gタンパク質共役型受容体(GPCRs)は,細胞内環境の変化(物理化学的刺激)を細胞内情報に変換し,伝達する上で極めて重要な役割を果たしている.リガンド刺激後,多くのGPCRはリン酸化され,β-アレスチン依存性の内在化によって再利用または分解される.このプロセスは,GPCRタンパク質の品質管理を維持するための重要な機構である.一方で,β-アレスチン感受性の低いGPCRがどのように品質管理されるかは不明であった.我々は,β-アレスチン低感受性のプリン作動性P2Y6受容体(P2Y6R)に着目し,リン酸化に依存しないGPCR内在化経路(Redox-dependent Alternative Internalization:REDAI)の存在を新たに見出した.P2Y6Rはマクロファージに高発現しており,大腸炎の発症・進展に深くかかわっている.我々は,食品中に含まれる親電子物質がP2Y6RのREDAIを誘導し,抗炎症効果をもたらす一方で,REDAIの抑制が大腸炎の悪化をもたらすことをマウスで実証した.これらの結果は,GPCRのREDAIを標的にする創薬が,炎症性疾患の画期的な治療戦略となることを強く示唆している.</p>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 157 (5), 356-360, 2022

    公益社団法人 日本薬理学会

参考文献 (9)*注記

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