『身自鏡』に記された五輪・五行思想からみた戦国期毛利氏の食

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  • Mori Motonari's meal during the Warring States period from the perspective of "Gorin / Gogyo-Setsu" recorded in "Minokagami"

抄録

<p>【目的】戦国期毛利氏の食については,『元就公山口御下向之節饗応次第』に1549年3~4月の大内氏との,『益田藤兼・同元祥安藝吉田一献手組注文』に1568年2月の益田氏との饗応献立が記録されている。我々はこれらの饗応献立の再現を,毛利氏に仕えた玉木吉保の自叙伝『身自鏡』や同時期の料理書を参考に行ってきた。『身自鏡』の[料理のこと]には季節の食材,汁,膾,さしみの調理法等が記されている。</p><p>【方法】本研究では,『身自鏡』の[料理のこと]の序文「夫料理調味,非賤しき事,天地開初しより五躰・五輪とて,地・水・火・風・空,五色に分て,青・黄・赤・白・黒也。此五色,則,春・夏・秋・冬・土用也。醋・苦・甘・辛・醎,此五味,以天地之間有生・非形生至迄不賞と云事なし。」に着目し,『身自鏡』の初春,暮春の食材について,五味(醋・苦・甘・辛・醎),五臓(肝・心・脾・肺・腎)を『医心方』等で確認した。さらに上記献立での使用を確認した。</p><p>【結果・考察】『身自鏡』の季節の食材は,初春はふきのとうやわかめ,暮春はわらびや小あゆ,年中の食材はとうふ、ふ、かわうそ、きじ、くじら等であった。汁の調理法には,つまも記され,例えば「青頸鴨・・(略)・・しほ鳥ならば,うすたれ吉,竹子・ひともし・うど・ふ・めうが・しゐ茸吉」であった。『身自鏡』に記された初春,暮春の食材は必ずしも醋,肝ではないが,上記饗応では初春,暮春の食材が供されていた。また,『饗応次第』には春を象徴する色である青を料理名とした「青膾」や,五つの要素の象徴である「五しゆ」「五色」が雑煮とともに供されていた。五輪・五行思想は,季節の食材を用いる,象徴となる色を用いる等,饗応での料理に取り入れられていた。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390011804535726848
  • DOI
    10.11402/ajscs.33.0_48
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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