最新の疼痛メカニズムに基づく物理療法の展開

  • 松尾 英明
    福井大学医学部附属病院リハビリテーション部

書誌事項

タイトル別名
  • Toward a new pain mechanism-based physical agents
  • 特別講演 最新の疼痛メカニズムに基づく物理療法の展開
  • トクベツ コウエン サイシン ノ トウツウ メカニズム ニ モトズク ブツリ リョウホウ ノ テンカイ

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抄録

<p>近年の疼痛研究の進歩により,痛みの新たな病態やメカニズムが明らかになり,病期により主となる病態が変化する.組織傷害後早期の急性期では,炎症性疼痛,末梢性感作が主な病態であり,疼痛コントロール,組織修復を促す物理療法を行い,機能障害や活動性低下に対する運動療法を行う必要がある.慢性期の病態は,痛みを伝える神経系の不適応な可塑的変化であり,より複雑な病態に変化する.したがって,複雑化する前に予防する介入が必要である.筆者らが取り組んできた一連の基礎研究により,電気刺激療法(TENS)は,神経障害性疼痛の痛覚過敏に予防的に有効である可能性が示唆されたが,さらなる臨床的検討が必要である.さらに慢性期の痛みに対しては,痛みと運動障害の悪循環を打開できるような物理療法を行い,機能障害や痛み動作の誤学習を是正するような運動療法を行うことが重要であると考える.いずれの病期においても,痛みをコントロールする目的で物理療法を活用し,痛みに伴う運動障害に対する運動療法を行うことが重要と考えている.</p>

収録刊行物

  • 物理療法科学

    物理療法科学 25 (1), 11-18, 2018

    一般社団法人 日本物理療法学会

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