Śrīharṣa’s Critique of the Naiyāyikas’ Argumentation Theory

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  • シュリーハルシャのニヤーヤ議論学説批判
  • Sriharsa's Critique of the Naiyayikas' Argumentation Theory

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<p> ヴェーダーンタ学派(不二一元論)のシュリーハルシャ(ca. 12c)は,『カンダナカンダカーディヤ』(Khaṇḍanakhaṇḍakhādya)第2章〈敗北の根拠〉(nigrahasthāna)批判部分において,ニヤーヤ学派が認める22種の敗北の根拠の定義が過大適用(ativyāpti)や過小適用(avyāpti)などの誤謬をはらんでいることを〈論破の道理〉(khaṇḍanayukti)を用いて実証する.本稿では,まずシュリーハルシャによるニヤーヤ議論学説批判が展開される文脈を確認し,そこで批判対象とされる諸定義の帰属先を推定した.シュリーハルシャが批判対象として言及する定義は『ニヤーヤスートラ』にみられる古典的な定義ではない.むしろ,ダルマキールティなどによる批判を念頭に置きつつ,ウダヤナが自著において再定義したものとの顕著な一致がみられた.ただし,一部には発展的な議論が前提とされていると思われる定義もみられる.この点については,シュリーハルシャによるウダヤナ定義の再構築,あるいは別の資料からの引用という可能性が指摘できるであろう.また,直接的な批判が展開される(1)提題の破棄(pratijñāhāni),(2)別の提題(pratijñāntara),(3)提題の矛盾(pratijñāvirodha),(4)定説逸脱(apasiddhānta)という4種の敗北の根拠のうち,(1)提題の破棄の定義に関するシュリーハルシャの批判を取り上げ,彼の〈論破の道理〉の構造を分析した.すなわち,彼は「承認し,述べたものの棄却」(svīkṛtoktatyāga)という提題の破棄の定義に含まれる「承認したもの」「述べたもの」「棄却」という語の意味内容を吟味し,どのような組み合わせであっても過大適用あるいは過小適用となることを指摘していた.シュリーハルシャによれば,そこで取り上げられないものを含む22種の敗北の根拠すべてに同様の〈論破の道理〉が適用されるようである.本稿では扱わなかった(2)~(4)の定義に対する批判の具体的構造や諸注釈中における発展的な議論,あるいはニヤーヤ学派側からの応答の解明が今後の課題である.</p>

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