新出『大日経』の梵語写本について

書誌事項

タイトル別名
  • A Preliminary Study of a Newly Discovered Sanskrit Manuscript of the <i>Mahāvairocanābhisaṃbodhi</i>
  • A Preliminary Study of a Newly Discovered Sanskrit Manuscript of the Mahavairocanabhisambodhi

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抄録

<p> 『大日経』は,密教の基礎となる経典である.現代の研究者の間では,『大日経』は7世紀半ばに成立したとする説が一般的であり,『金剛頂経』とともに密教の正式な成立を示すものとされている.しかし,インド密教の急速な発展に伴い,『大日経』は『金剛頂経』ほど注目されなくなり,前者は後世の分類では下位の段階,つまり「行」の段階とみなされるようになったのである.注目されていないテキストほど,サンスクリット語の写本が残っている可能性は低く,『大日経』のサンスクリット語写本が近年まで発見されなかったのもそのためであろう.2020年に中国人民大学の張美芳氏が行った西蔵自治区での写本調査では,『大日経』のサンスクリット語写本のフォリオが1枚だけ確認された.本論文は,このフォリオについての予備的な研究を発表することを目的としており,その中には『大日経』の文字表や,サンスクリット語転写とチベット語翻訳との比較が含まれている.</p>

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