東京都熱傷救急連絡会のデータからみる東京都の熱傷の傾向 1991年から2020年までの報告より
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- 森田 尚樹
- 地方独立行政法人東京都立病院機構 東京都立広尾病院形成外科
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- 佐藤 幸男
- 慶應義塾大学病院救急科
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- 櫻井 裕之
- 東京女子医科大学形成外科
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- 横堀 將司
- 日本医科大学付属病院高度救命救急センター
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- 石川 秀樹
- 帝京大学医学部付属病院救命救急センター
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- 梶原 一
- 社会医療法人社団順江会江東病院
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- 海田 賢彦
- 杏林大学医学部付属病院救急医学
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- 松村 一
- 東京医科大学形成外科
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- 福田 令雄
- 日本医科大学多摩永山病院救命救急センター
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- 濱邉 祐一
- 東京都立墨東病院救命救急センター
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- 磯野 伸雄
- 東京都立多摩総合医療センター形成外科
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- 田上 俊輔
- 東京大学附属病院救急部・集中治療部
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- 藤原 修
- 独立行政法人国立病院機構災害医療センター形成外科
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- 副島 一孝
- 日本大学医学部付属板橋病院形成外科
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- 新井 悟
- 東京都医師会救急・災害担当理事
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- 佐々木 淳一
- 慶應義塾大学病院救急科
書誌事項
- タイトル別名
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- Trends in burns in Tokyo based on data from the Tokyo Burn Unit Association: Data from 1991 to 2020
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抄録
東京都熱傷救急連絡会は熱傷救急ネットワークとして参画施設よりデータを収集, 分析し熱傷に関する啓発活動等を行っている. 今回1991年から2020年の30年間分9,698症例のデータを5年ごとに分け分析し, 熱傷症例の傾向を検討した. <br> 総症例数に大きな変化は認めず, おもな受傷原因はflame burn, scald burn, inhalation injuryの順に多かった. 平均熱傷面積は有意に減少を認め, 平均年齢は有意に上昇し, 死亡率は有意に低下を認めた. 死亡症例の平均年齢は有意に上昇し, 平均熱傷面積は減少した. 死亡症例のBIは有意に減少したが, PBIは変化を認めず, 100をこえると死亡率は60%以上となった.<br> 原因別症例数推移は, scald burnは増加傾向を, inhalation injuryは有意に増加した. これに対し, flame burnは有意に減少を認めた. Flame burnでは火災, コンロ等, 自傷行為, scald burnではポット・鍋の湯・油, 熱い食べ物, 風呂・シャワーがおもな受傷原因であった. <br> 年齢別症例数は, 年少年齢 (0~14歳) ではポットの湯や油によるscald burn症例が増加傾向にあり, 対して火災によるflame burn症例は減少傾向を示した. 生産年齢 (15~64歳) では火災や自傷行為によるflame burn症例は減少傾向を認めた. 老年年齢 (65歳以上) では火災, コンロによるflame burn, 熱い食べ物, ポットの湯によるscald burnで症例数の増加を認めた. 出火原因はタバコの火の不始末 (不適当な場所への放置), 焚火, コンロが多く, 今後高齢者人口の増加に伴い, タバコの火の不適切な場所への放置, 焚火への注意喚起や, コンロ等のIH化や難燃性の衣類の推奨, ポットや鍋等の熱い食べ物による熱傷に対する啓発活動が重要であると考える.
収録刊行物
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- 熱傷
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熱傷 48 (3), 76-89, 2022-09-15
一般社団法人 日本熱傷学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390011949319696768
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- ISSN
- 24351571
- 0285113X
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可