難聴者の単音節別正答率と初期音響エネルギーとの関係

  • 下倉 良太
    大阪大学大学院基礎工学研究科システム創生専攻システム科学領域

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タイトル別名
  • Relationship between correct answer rate for Japanese monosyllables and their initial acoustic energy in hearing impaired patients

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抄録

<p>要旨: 感音難聴者が聞き取りにくい単音節についてその傾向を示した研究は見られるものの, 正答率を左右する物理量まで言及する研究は少ない。 本研究は, 単音節の初期音響エネルギーに着目し, 音圧の時間積分に相当する Sound Exposure Level (LAE [dB]) の立ち上がりと, 単音節別正答率との関係を検証した。 LAE がある一定値 (Latt)に到達するまでの時間を tatt と定義し, 対数化した尺度 (logtatt) と単音節別正答率を比較すると, Voice onset time (VOT) が非負となる単音節において強い負の相関を認めた。 つまり LAE の立ち上がりが急峻な単音節ほど正答率が高い。 この傾向は語音明瞭度が低下する重度群において顕著であった (r=-0.77, p<0.01)。一方, VOT が負となる単音節においては子音部に先行する声帯振動が LAE の立ち上がりを均一化し, この相関関係が見られなかった。 この声帯振動を信号処理で除去すると, 高齢者において正答率が有意に低下し, 声帯振動も含めた初期音響エネルギーが語音弁別に影響を与えることを確認した。</p>

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参考文献 (25)*注記

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