レスリングのトレーニングを経験した小学生児童の体格と体力・運動能力に関する縦断的検討

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抄録

【トレーニング現場へのアイデア】 小学生児童の 体格や 体力・運動能力に性差が生じるこ とや 男女で変化のパターンが異なることから 、 レスリング競技の トレーニング現場 で は 動 作の評価に性差が存在することを念頭に 指導することが求められる 。 【目的】 ジュニア選手の体力・運動能力の発達 過程を明らかにすることは 、 競技力向上の 知見を得る上で重要性が高い 。 本研究では 、 レスリングのトレーニングに継続的に参加し た小学生児童の体格および体力・運動能力を縦断的に分析し 、 レスリング競技で養われる 体力・運動能力の変化について検討を進め 、 さらに 、 タックル動作と体力・運動能力の関 係から 、 発育発達期のトレーニング指導に必要な知見を明らかにすることを目的とした 。 【方法】 体力・運動能力と して 、 身長 、 体重 、 体脂肪率 、 20m 走 、 立 ち幅跳び 、 反復横跳び 及びリバウンドジャンプ指数を 体育館のフロアで 測定した 。 レスリング競技の専門的要素 を含んだ運動能力として 、 タックルジャンプを レスリング マットで 測定した 。 本研究の 対 象者は小学 3 年生から 6 年生までの縦断データの揃った小学生男児 4 名と女児 5 名とし 、 1 週間あたり 3 日間 、 1 回あたり 120 分 、 レスリングのトレーニング を実施して い た 。 対象者 の レスリング 開始年齢は 平均約 5.55 歳 、 競技歴は 平均約 6.42 年だった 。 体力・運動能力 の 平均 値の差は 、 学年( 4 水準: 3 年生 、 4 年生 、 5 年生 、 6 年生)×性別( 2 水準:男児 、 女児)の二元配置分散分析を行った 。 一般的な体力・運動能力とレスリング競技の専門的 要素を含んだ運動能力の相関関係は 、 Pearson の単相関分析,および測定時の身長を制御変 数とした偏相関分析を 行った 。 【結果】 主な結果として 、 体脂肪率は交互作用に有意な主効果が認められ( P =0.007 partialη2 =0.430 、 男児は学年が進むにつれ有意に減少し 、 女児は学年が進むにつれ有意 に増加した 。 性別は 6 年生のみ 、 男児に比べて女児が有意に 高 かった 。 立ち幅跳び 、 反復 横跳び 、 タックルジャンプ は男女ともに学年が進むにつれ有意に増加し 、 反復横跳びとタ ックルジャンプのみ 性別に有意な差が認められた 。 リバウンドジャンプ指数は交互作用に 有意な主効果が認められ( P =0.020 partialη2 =0.368 、 男児のみ学年 が 進むにつれ有意 に増加した 。 一般的な体力・運動能力 とレスリング競技の専門的要素を含んだ運動能力の 偏相関分析の結果 、 男児は 有意な相関関係 が 認められ ず 、 女児は タックルジャンプと 20m 走速度( R=0.748 、 立ち幅跳び( R=0.695 、 反復横跳び( R=0.615 、 リバウンドジャンプ 指数( R=0.676 )との間に有意な正の相関関係を認めた 。 【考察】 レスリング競技で実施されているトレーニングは児童の体力・運動能力を向上さ せる効果を期待できると考えられる 。 また 、 タックル動作に関係する因子は発育発達とい う視点において性差が存在する可能性が高いことが推察される 。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390012025951400960
  • DOI
    10.32171/cpjssct.2021.0_o07
  • ISSN
    24343323
    24337773
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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