The process of changing the image of the elderly through family transformation and social policy

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  • 家族の変容と社会政策による高齢者像の転換過程

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Abstract

高齢化問題として,高齢者個人の問題と社会の問題という二つの角度から検討されてきた。前者は,本人の老化や病気,独居,老後不安,老人扶養,老人ホームといった高齢者個人の生活問題として捉えられた。いっぽう後者は,社会保障や年金問題,社会的な扶養問題,労働力不足問題として考察された。 二つの角度から取り組まれた対策・政策によって,社会の高齢者観や高齢者自身が考える高齢者像は大きく変容した。もっとも顕著に影響したのが社会保障制度であった。成人した子どもと老親の分離を意味する核家族化の進行と人口高齢化を背景にして高齢者ニーズを満たすための制度がつくられてきた。身体面では,健康保険制度,介護保険制度,経済面では,年金制度,雇用面では高年齢者雇用安定法による雇用の延長など各種高齢者支援制度が導入された。これら支援制度により高齢者の自立意識や経済的・健康的な環境が向上し,これまでと異なった高齢者観や新たな高齢者像が創り出されることになった。そのため,社会全体がこれまでの高齢者に対する価値観や認識で,高齢者を捉えることは難しい。新たな高齢者像に沿った対応が必要であり,適度な人口減による人手不足と低成長経済のもとでは新たな高齢者像の相応しいあり方を探求し,高齢者の活用を図る必要がある。

Journal

  • 公共政策志林

    公共政策志林 10 88-106, 2022-03-24

    法政大学公共政策研究科『公共政策志林』編集委員会

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