満開期における植物成長調整剤処理の違いがブドウ ‘シャインマスカット’ の成熟期の果粒物性および細胞壁構成成分に及ぼす影響

  • 笈田 幸治
    京都府立大学大学院生命環境科学研究科 丹後広域振興局農林商工部丹後農業改良普及センター
  • 松井 元子
    京都府立大学大学院生命環境科学研究科
  • 村元 由佳利
    京都府立大学生命環境学部
  • 板井 章浩
    京都府立大学大学院生命環境科学研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of Plant Growth Regulator Treatments in Blooming Period on Rheological Properties and Cell Wall Components of Mature Grape Berries of ‘Shine Muscat’
  • マンカイキ ニ オケル ショクブツ セイチョウ チョウセイザイ ショリ ノ チガイ ガ ブドウ'シャインマスカット'ノ セイジュクキ ノ カリュウ ブッセイ オヨビ サイボウヘキ コウセイ セイブン ニ オヨボス エイキョウ

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抄録

<p>無核化処理で施用する植物成長調整剤が,ブドウ ‘シャインマスカット’ の皮ごと食べやすさに及ぼす影響を調査するため,果粒の物性および植物細胞壁構成成分を分析した.物性分析は,果粒全体の貫通試験に加え,果皮と果肉の接着力の強さを示す難剥皮性を調査した.植物細胞壁の成分分析は果粒を果粒中央部の果肉,果皮周辺部の果肉,果皮の3部位に分けて行った.満開期のCPPU処理について,処理濃度を5 ppm以上に高めると第二破断歪率の増加がみられ,皮ごと食べやすさが損なわれるとともに,果皮および果皮周辺部果肉のセルロース含量の増加がみられた.また,満開10~12日後の2回目のGA3施用は成熟果粒を硬くするとともに,剥皮しにくい品質にする結果となった.細胞壁の構成成分では,2回目GA3の施用はNa2CO3可溶性ペクチン様物質を示すNa2CO3画分のウロン酸およびヘミセルロースが多く含まれるKOH画分の全糖含量を増加させた.このことから,2回目GA3の施用によるNa2CO3可溶性ウロン酸およびKOH可溶性全糖含量の増加が,果肉を硬くするとともに,果皮と果肉の接着力を高めたことが考えられた.これらの結果から各植物成長調整剤処理は果粒の細胞壁構成成分に影響し,皮ごと食べやすさを含む果粒のテクスチャーを変化させることが明らかとなった.</p>

収録刊行物

  • 園芸学研究

    園芸学研究 21 (3), 287-297, 2022

    一般社団法人 園芸学会

参考文献 (23)*注記

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