気候変動に対する農家の適応策とその実施要因
書誌事項
- タイトル別名
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- Farmer Adaptation Measures to Climate Change and Their Adoption Factors
説明
<p>気候変動による農業への影響が顕在化している今日において,気候変動に対して効果的な適応策の実施が求められている。一方で,農家による適応策の実態や,適応策の実施要因を検討した研究は,十分に蓄積されていない。そこで本稿では,農家による適応策実施の実態を把握することと,適応策実施に関連する要因を計量的に検討することを課題とした。全国の農家を対象としたwebアンケートや農研機構メッシュ気象データを用いた分析の結果,以下の点が明らかになった。まず,アンケート調査による集計結果からは,半数以上の農家が適応策を実施しており,そのうち,自発的に適応策を実施する農家が大多数を占めることがわかった。一方で,複数の適応策を実施する農家は限定的であることや,実施コストの高さや,実施すべき適応策がわからないことを理由に,適応策を実施していない農家が存在するなど,現状における課題も明らかになった。次に,適応策実施数に関わる要因を計量的に分析した結果,年齢,経営規模,気候変動による悪影響の認知など,従来から関連が指摘される要因に加えて,リスク選好や時間選好も適応策実施に関連することが明らかになった。また,気象データを用いた分析から,平均気温が高い地域で,より多くの適応策が実施される傾向も示唆された。以上の結果から,今後,適応策の実施を促進するためには,公的機関や農協などによる情報発信に加えて,適応策実施における初期費用の軽減や,農家が直面するリスクの軽減を図る施策が有効である可能性が示された。</p>
収録刊行物
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- 環境科学会誌
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環境科学会誌 35 (5), 328-337, 2022-09-30
社団法人 環境科学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390012114415860352
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- ISSN
- 18845029
- 09150048
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- JaLC
- KAKEN
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可