ノンコーディングRNAによる解糖系酵素複合体の形成は解糖系を促進する

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抄録

がん化した細胞は,腫瘍形成過程において酸素の有無にかかわらず好気呼吸に対する解糖系の活性比が大きいという特徴を持ち,発見者の名前からワールブルグ効果と呼ばれる.近年,この現象を標的とした新たながん治療戦略を確立するために,解糖系酵素群の解析が盛んに行われている.代謝反応は複数のタンパク質が関与する連続した酵素反応であり,いくつかの代謝酵素同士が結合して,代謝を行うことがわかっており,<br>この代謝酵素の集合体は‘metabolon’と呼ばれ,その存在が1970年代から提唱されている. Metabolonは酵素同士の非共有結合による集合体で,主にタンパク質―タンパク質間相互作用が関与すると考えられてきた.本稿では,長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)が解糖系酵素群のmetabolon形成の足場になることを報告した論文を紹介する.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Clarke F. M., Masters C. J., Biochim. Biophys. Acta, 381, 37–46(1975).<br>2) Zhu Y. et al., Molecular Cell, 82, 542–554 (2022).<br>3) Iyer M. et al., Nat. Genet., 47, 199–208 (2015).

収録刊行物

  • ファルマシア

    ファルマシア 58 (10), 978-978, 2022

    公益社団法人 日本薬学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390012158460834688
  • DOI
    10.14894/faruawpsj.58.10_978
  • ISSN
    21897026
    00148601
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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