エマヌエル・ヒルシュの神学的歴史理解に関する一考察

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タイトル別名
  • A study of Emanuel Hirsch's theological view of history
  • エマヌエル ヒルシュ ノ シンガクテキ レキシ リカイ ニカンスル イチコウサツ
  • エマヌエルヒルシュの神学的歴史理解に関する一考察

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抄録

20世紀前半に活躍した神学者エマヌエル・ヒルシュは1920年に刊行された著作『ドイツの運命』のなかで、歴史を「理念の支配の実現」としてではなく、「様々に異なる個人の生の啓示と展開」であると定義した。そしてこの個人の生は「理念」と「批判的な関係」にあると述べた。『ドイツの運命』ならびにその他の神学的著作に基づくならば、彼のこうした歴史理解は次のように解釈することが可能である。「良心」のなかで「汝」として現れる神との出会いを経験することで、人間は神ならびに他の人間との共同性のなかで善と悪を決定する「決断する生」として人格を確立する。その際、キリスト教的に生きると同時に、人間的・歴史的共同体のなかで生きる人間は、これら二つの異なる善悪の判断の仕方の間で葛藤しつつ、両者を調停しようとする試みのなかで新たに倫理的なものを作り出す。ここに人間的に解釈された神の啓示が生じるのであり、これをヒルシュは「歴史」と名付けたのであった。

収録刊行物

  • 基督教研究

    基督教研究 82 (1-2), 41-58, 2020-12-21

    基督教研究会

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