筋電計測から見たニホンザル中殿筋の筋内機能分化と歩行運動様式の関係

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タイトル別名
  • An EMG study of the three segments of gluteus medius in Japanese macaques

抄録

<p>直立二足歩行時の上体の側方安定性に重要であるヒトの中殿筋は、形態学的特徴に基づくと前・中・後部の三つのセグメントに細分される。ヒトの二足歩行を対象とした筋電図研究によると、中殿筋の三つのセグメントの間には活動位相のズレが存在するといい、運動制御面でも筋内機能分化が生じている可能性が示唆されている。形態と運動の両面から見て、ヒトの直立二足歩行と機能的に関連していると推察される中殿筋内部での機能分化は、人類進化の過程でどのように獲得されてきたのだろうか。ニホンザルを対象としたこれまでの我々の研究結果から、四足から二足への歩行運動時の姿勢変化が中殿筋の筋作用の変化に関連していることが明らかとなっている。本研究では、運動制御機能の視点から、四足から二足への歩行運動様式の変化が中殿筋の筋内機能分化に及ぼす影響について明らかにすることを目的として、ニホンザルの四足・二足歩行時における中殿筋の三セグメントの筋活動を同時計測した。筋電図計測装置と同期したビデオカメラの動画に基づいて一歩行周期を切り出し、四足歩行、二足歩行各条件における平均波形と、相互相関分析を用いた試行毎のセグメント間の活動位相のズレを定量化した。その結果、二足歩行では四足歩行に比べて筋活動が大きいことと、中・後部に対する前部の活動位相の遅れが、四足歩行時よりも二足歩行時に増大する傾向にあることが明らかとなった。本発表では、筋電波形の質的差異も含めて、ニホンザルにおける中殿筋内部での機能分化の様相と、その歩行運動様式との関連について議論する。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390012191593585152
  • DOI
    10.14907/primate.38.0_24
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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