韓国におけるワカメ加工業の構造変化に関する考察

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タイトル別名
  • The consideration regarding the changing structure of the “<i>Wakame</i>” processing industry in Korea
  • カンコク ニ オケル ワカメ カコウギョウ ノ コウゾウ ヘンカ ニ カンスル コウサツ

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抄録

<p>韓国における水産加工業は,近年,構造変化の過程にある。それは,韓国の水産加工業が主に外需向けの輸出産業として発展を遂げてきたものであり,輸出環境の変化に伴う水産加工品における輸出の減退を背景に当該加工業の構造再編を余儀なくされているからである。さらに国内における水産物市場の拡大を背景に内需向けの産業としての業態転換や市場のシフトが進んでいるからである。</p><p>ワカメ加工業は,そうした韓国の水産加工業において主要な一翼を占めるものであり,また海藻類の加工においてノリ加工業とともに2大業種をなすものである。当該加工業は,当初から主に日本市場向けの輸出産業として,就く1970年代から80年代にかけて日本市場向けの湯通し塩蔵ワカメの加工業として発展を果たしてきたものである。しかし,1990年代に入ると日本市場における中国産製品の輸出攻勢のもとで急激な輸出減退を招くとともに輸出市場からの撤退を余儀なくされ,湯通し塩蔵ワカメの加工業は加工業者の大幅な縮減や加工産地の集約化など急激な構造再編を招いている。しかし,その一方においてワカメ加工業の再構築も図られており,それは加工における湯通し塩蔵ワカメから乾燥ワカメヘの製品転換と市場対応における外需向けから内需向けへのシフト,の二つの方向から進展している。</p><p>本論では,韓国のワカメ加工業をめぐる構造変化を明らかにするため,その加工拠点である全羅南道莞島郡莞島邑(以後,「莞島邑地区」と称する)における実態調査を基に分析を行っている。ここでは,第1に韓国のワカメ加工業における再編過程と莞島邑地区における産地形成,第2に莞島邑地区におけるワカメ加工業の企業・経営の構造,第3に同様にワカメ加工業の展開をめぐる原料,労働力,加工体制,販売対応,第4にワカメ加工業の課題と展望,について考察している。</p>

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