授乳と薬剤について
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- 池上 信夫
- 高知県立あき総合病院産科婦人科 部長
説明
<p>日本助産師評価機構、2022 年以降対応版必修研修内容「臨床薬理(妊娠と薬)」の学習内容「2.授乳と薬剤」について概説を行う。</p><p> 2-1.産婦人科診療ガイドライン産科編 2020 について</p><p> (CQ104-5)医薬品の授乳中使用による児への影響について尋ねられたら?</p><p> 1.例外(抗悪性腫瘍薬、治療目的の放射性物質、アミオダロン)を除き、授乳婦が 使用している医薬品が児に大きな影響を及ぼすことは少ないと説明する。(B)</p><p> 2.児への影響とともに、医薬品の有益性・必要性及び母乳栄養の有益性について も説明し、母乳保育を行うか否かの授乳婦自身の決定を尊重し支援する。(B)</p><p> 3.個々の医薬品については、国立成育研究センター「妊娠と薬情報センター」など の専門サイトや専門書を参照して、説明する。(C)</p><p> 4.慎重に検討すべき医薬品(抗てんかん薬、抗うつ薬、炭酸リチウム、抗不安薬 と鎮静薬、鎮痛薬、無機ヨウ素)を使用している授乳婦に対しては、児の飲み具合、眠り方、機嫌、体重増加などを注意するように勧める。(C)</p><p> 2-2.授乳中の薬剤投与の特徴 </p><p> • 児への影響 授乳児への薬物移行量で評価 相対的乳児薬物投与量 relative infant dos(e RID) </p><p> RID=(母乳を介する薬の用量(mg/kg/ 日)/ 乳児の治療量(mg/kg/ 日))×100 </p><p> RID が 10%未満だと一般に安全とみなされる。 </p><p> • 母乳への影響 分泌を抑制する薬:ドパミン受容体作動薬、経口避妊薬等 分泌を抑制する薬:ドパミン受容体拮抗薬 </p><p> 2-3.児への影響と有益性・必要性の検討 薬物療法と母乳育児の両立が国際的コンセンサスとなっている。 薬物療法時の母乳育児支援 </p><p> • 授乳婦の薬物療法に必要な視点 </p><p> ①乳児への影響を最小限にする </p><p> ②できるだけ母乳育児を継続する </p><p> • 授乳婦の薬物療法で必要な説明 </p><p> ①薬物療法の必要性 </p><p> ②薬物の有害性 </p><p> ③母乳育児のベネフィット </p><p> ④母乳を中止した場合の不利益 </p>
収録刊行物
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- 看護薬理学カンファレンス
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看護薬理学カンファレンス 2022.2 (0), S1-2-, 2022
公益社団法人 日本薬理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390012235942138240
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- ISSN
- 24358460
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可