「内なる優生思想」という問題 : 「青い芝の会」の思想を中心に

書誌事項

タイトル別名
  • The Problem of “inside Eugenical Ideology” : A Study Based on the Thought of “Aoi Shiba No Kai”
  • ウチナル ユウセイシソウ トイウ モンダイ アオイシバノカイ ノ シソウ ヲ チュウシン ニ
  • ウチ ナル ユウセイ シソウ ト イウ モンダイ アオイ シバ ノ カイ ノ シソウ オ チュウシン ニ

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説明

今日、生命倫理において、「内なる優生思想」という問題がもっとも大きな問題の一つとして取り上げられている。旧来の優生学に対する批判は、優生思想を広めるために国家や大資本といった権力側が、個人の自由な選択を制限する、ということに対する批判であった。しかし、1980年代以降、一般の人々が自らの意志によって出生前診断を受診し、自らの意志によって障害児を中絶する、という選択自体の問題性が意識される'ようになる。外側からの強制によってではなく、自らの選択によって、優生学的な実践が行われはじめたのである。これが、「内なる優生思想」の問題である。本稿では、この「内なる優生思想」という問題を1970年代初頭の段階でいち早く指摘した、脳性マヒ者の団体「青い芝の会」の運動と主張を中心的に考察を行うことを目的とする。彼らの行ってきた運動や主張を追うことにより、・「内なる優生思想」の問題がどのような構造を有しているのかを明らかとする。彼らは障害者としてのアイデンティティにこだわり、「自己」と「他者」を断絶として捉えた。しかし、この「自己」と「他者」の分離こそが「内なる優生思想」の問題を生み出している。そこで本稿では、近代的「自己」モデルの捉え直しを試みる。

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