感覚の構造 : 感覚質をめぐる問題

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  • Structures of Sensations : Problems on qualia
  • カンカク ノ コウゾウ カンカクシツ オ メグル モンダイ

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抄録

近年、欧米や日本において、感覚質や意識の問題がさかんに議論されるようになった。しかし、これまで哲学でなされてきた感覚質に関する議論は不十分である。特に、感覚質の分析においてこれらの議論が見落としていた点がある。ここでは、私が指摘したいと思う感覚質の側面について、三部に分けて議論したい。1[感覚質の複雑性] 私達が感ずる質は集まって構造を持つ。以下、ある時点における体験された感覚質の集まりを「感覚質群」と呼び、その感覚質群が持つ構造のことを「感覚質群構造」と呼ぶことにする。この観点から、一入称的感覚体験とその三人称的記述の関係を解明する。2[感覚質群構造と記憶との関係] 体験される感覚質群は、その体験が強度'なものである時、記憶されることがある。そして、過去と類似の感覚質群が体験される時、その感覚質群と結びついた過去のエピソードが思い起こされることがある。この感覚質群構造の持つ時間的次元は、単純な機能主義ではとらえることができない。そこで、時間を考慮に入れた機能主義として全体論的機能主義を提案する。3[感覚質をめぐる心の哲学] 第1部と第2部の議論をふまえ、心の哲学に関するこれまでの議論を批判・検討することにより、私の立場をいっそう鮮明に特徴づける。

収録刊行物

  • 年報人間科学

    年報人間科学 22 1-15, 2001

    大阪大学人間科学部社会学・人間学・人類学研究室

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