アジア産トウヒレン属(キク科)の分類学的研究VIII.本州産の3 新種

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タイトル別名
  • Systematic Studies of Asian <i>Saussurea</i> (<i>Asteraceae</i>) VIII. Three New Species from Honshu, Japan

抄録

<p>トウヒレン属ヒメヒゴタイ亜属ヒメヒゴタイ節ヒメヒゴタイ亜節(Saussurea subg. Theodorea sect. Theodorea subsect. Theodorea-vera) の1 新種, サドヒゴタイSaussurea nakagawae Kadota を記載した.サドヒゴタイはヒメヒゴタイS. pulchella (Fisch. ex Hornem.) Fisch. に似るが,①総苞が細長く,②数多くの苞葉があり,③総苞片が11–12 列であり,④総苞外片が長卵形である点で異なる.この亜節は東アジア固有で,これまでに4 種が知られており,サドヒゴタイは5 番目の種となる.併せて,ヒメヒゴタイ亜節subsect. Theodorea-vera Kitam. ex Kadota を正式に記載した.本種は佐渡島の固有種で,海岸草原に生育する.種形容語(種小名)は本種を発見された,佐渡市在住の中川清太郎氏への献名である.</p><p> トウヒレン亜属subg. Saussurea においては次の2 種を記載した. トウミトウヒレンSaussurea mihokokawakamiana Kadota はヤハズヒゴタイS. triptera Maxim. に似るが,①茎にはほとんど翼がなく,②茎葉は長卵状三角形,ときに鉾形,基部は浅い心形〜切形で,③頭花は疎らな総状花序につき, ④総苞はより大型で,筒形〜鐘形,⑤総苞片は8–9 列,基部は倒卵形で,先端は著しく長く尾状に伸びる点で異なる.キンブヒゴタイS. kimbuensis Nakai は茎に翼がなく,葉身が長卵状三角形で,総苞片の先端が尾状に長く伸びる点でトウミトウヒレンに似るが,総苞片が5 列で,総苞が直径5 mm,長さ10–11 mm とより小さい点で異なる.種形容語は本種の存在に気付かれた,上田市在住の川上美保子氏への献名である.和名は基準産地の篭ノ登山が長野県東御市に位置するため.トウミトウヒレンは浅間山系の固有種である.</p><p> ヤマガタトウヒレンSaussurea yamagataensis KadotaはセンダイトウヒレンS. sendaica (Franch.) Franch. ex Koidz. に似るが,それに比べて,①地下茎が横走して,節間が長く,②総苞片は11–12 列で狭卵形,③総苞が筒形でより長く,④葉身が長卵形,⑤茎に淡緑色で多細胞の長毛が多い点などで異なる.奥羽山脈の山形県側に限られ,同県村山地方の山形市と上山市に分布し,温帯域の林間の草地や夏緑林の林縁に生育する.</p>

収録刊行物

  • 植物研究雑誌

    植物研究雑誌 92 (2), 69-81, 2017-04-20

    植物研究雑誌編集委員会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390012346468161152
  • DOI
    10.51033/jjapbot.92_2_10766
  • ISSN
    24366730
    00222062
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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