オクタマツリスゲ(カヤツリグサ科)の形態と分布の再検討

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タイトル別名
  • Revisional Notes on the Morphology and Distribution of <i>Carex filipes</i> var. <i>kuzakaiensis</i> (<i>Cyperaceae</i>)

抄録

<p>オクタマツリスゲ(カヤツリグサ科)は長らく東北地方に固有とされてきたが,群馬県尾瀬とその周辺(福島県南会津郡檜枝岐村と栃木県日光市)や岐阜県奥飛騨地域にも分布することが明らかになった.特に尾瀬の景鶴山麓では長さ1 kmの範囲に100株以上の成熟株と多数の若い株が確認された.ヒロハノオオタマツリスゲが丘陵帯から山地帯下部に分布するのに対して,オクタマツリスゲは山地帯上部に分布する.オクタマツリスゲは,湿り気のある落葉広葉樹林内の林床が攪乱を受けた場所によく生育する.オクタマツリスゲは越冬した葉が花期まで残ることや基部の葉鞘が濃赤紫色になる点でヒロハノオオタマツリスゲに類似する.オクタマツリスゲは雄花穂が通常淡緑色である点で,濃赤紫色の雄花穂をもつヒロハノオオタマツリスゲと区別できるが,産地によってはまれにオクタマツリスゲの雄花穂も赤色を帯びることがあった.また,オクタマツリスゲはヒロハノオオタマツリスゲに比べて短い雄花穂(長さ18 mm以下)と雄花穂の柄をもつこと,嘴を含めても果胞が長さ5 mm未満と短いこと,果胞が卵形よりも楕円形になることで識別できる.ただし,雄花穂の柄の長さは変異が大きく,識別形質として用いる場合は注意を要する.</p>

収録刊行物

  • 植物研究雑誌

    植物研究雑誌 94 (3), 165-172, 2019-06-20

    植物研究雑誌編集委員会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390012346468214016
  • DOI
    10.51033/jjapbot.94_3_10943
  • ISSN
    24366730
    00222062
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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