台湾と日本に産するハテルマギリ(アカネ科)の二型花柱性と繁殖特性

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タイトル別名
  • Distyly and Reproductive Nature of <i>Guettarda speciose</i> (<i>Rubiaceae</i>) Occurring in Taiwan and Japan
  • Distyly and Reproductive Nature of Guettarda speciosa (Rubiaceae) Occurring in Taiwan and Japan

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抄録

<p>先島諸島と台湾南部に産するハテルマギリ(アカネ科)の花形態とその繁殖特性を明らかにするために,本種の雄蕊と雌蕊の開花時における高さ,花粉染色性とサイズ,授粉実験による二型花間の和合性,野外における結果率の調査等を行った.本種の葯や柱頭の高さは花や個体間の変異が著しく,その頻度分布において二型花柱性植物によく見られる二山分布を示さず2群に分かれなかったが,葯と柱頭の高さの差による頻度分布では明瞭に2群に別れ,また柱頭と葯の高さにおいても,一方は柱頭が葯より高い位置にある長花柱花,他方は柱頭が葯より低い位置にある短花柱花という二型性を示したが,柱頭と葯の高さは二型花間で相互に対応せず,ずれた状態にあった.しかし,二型の個体はいずれの野外集団においてもほぼ1:1の割合で存在し,また二型花はいずれも花粉稔性をもち,野外で同等の結果・結実率を示していた.さらに授粉実験の結果は,本種が自家・同型花不和合性をもち,結実には二型花間の相互交配が必要であることを示した.これらの結果は,本種が形態・機能的に二型花柱性ではあるが,その二型性は柱頭と葯の高さが相互に対応せず,ずれた状態の特異な二型花柱性であることを示している.柱頭と葯の高さが二型花間で対応せずに相互交配が担保されていることは非常に特異である.これにはスズメガ類による送粉が関与している可能性もあり,今後送粉様式に着目した調査を進めて行くことを考えている.</p>

収録刊行物

  • 植物研究雑誌

    植物研究雑誌 94 (6), 342-353, 2019-12-20

    植物研究雑誌編集委員会

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