石川雅望『近江県物語』における典拠利用

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書誌事項

タイトル別名
  • Adaptations and Quotations in Ishikawa-Masamochi's <i>Ōmi-agata-monogatari</i>: The Chinese Moralistic Tale Rewritten in Japanese under the Influence of <i>Genji-monogatari</i>
  • ――和文・勧懲・『源氏物語』――

抄録

<p>石川雅望の読本『近江県物語』は文化五年(一八〇八)に出版された。当時、大田南畝が本作を好意的に評価した一方で、後期読本の主流を担う曲亭馬琴は雅望の読本そのものへの言及を避けた。本作が李漁の『巧団円伝奇』の忠実な翻案でありながら、馬琴が批判的であった和文(雅文)で叙述されたこと、因果応報が曖昧であり、勧懲の完遂をみないことが馬琴の不興を買った一因であろう。</p><p>本稿では、まず、本作と『巧団円伝奇』との人物造形の相違点を再検証し、雅望が馬琴とは異なる勧懲を描出した可能性に言及する。そのうえで、主人公梅丸に注目する。梅丸の造形は大部分を『巧団円伝奇』の主人公姚継に拠る一方で、様々な日本古典文学作品の影響下にあるとの指摘も多く、雅望の国学への興味を示唆するものである。南畝らとともに﹁和文の会﹂に参加し、後に『源氏物語』の注釈書『源註余滴』を著した雅望が、梅丸の出生譚に桐壺巻を利用した可能性を指摘する。</p>

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 66 (10), 34-45, 2017-10-10

    日本文学協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390012401736593408
  • DOI
    10.20620/nihonbungaku.66.10_34
  • ISSN
    24241202
    03869903
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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