神経RNA顆粒が制御する局所翻訳と長期記憶形成

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  • 大橋 りえ
    自然科学研究機構・基礎生物学研究所/自然科学研究機構・生命創成探究センター/総合研究大学院大学
  • 椎名 伸之
    自然科学研究機構・基礎生物学研究所/自然科学研究機構・生命創成探究センター/総合研究大学院大学

書誌事項

タイトル別名
  • Local translation and long-term memory formation regulated by neuronal RNA granules
  • シンケイ RNA カリュウ ガ セイギョ スル キョクショ ホンヤク ト チョウキ キオク ケイセイ

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抄録

長期記憶をもたらすシナプス長期増強に不可欠な制御として,樹状突起の後シナプス周辺における局所的な翻訳があげられる.局所翻訳が起こるためには,mRNAが輸送装置へ取り込まれ,それが突起へと輸送され,シナプス入力に応答して翻訳活性が上昇するという一連の反応が時空間的にコントロールされる必要がある.これらの制御を担うのが,液–液相分離(LLPS)により形成される凝縮体(コンデンセート)「神経RNA顆粒」である.近年,さまざまな生命現象へのLLPSの関与に対して注目度が高まり,LLPSの観点からRNA顆粒の特性を解析した研究が多く報告されるようになった.そこから明らかにされつつあるRNA顆粒の構造や構成因子のダイナミクスに関する知見に基づき,RNA顆粒が局所翻訳,ひいては長期記憶という生命現象をもたらすメカニズムを考察する.

収録刊行物

  • 生化学

    生化学 94 (4), 529-536, 2022-08-25

    公益社団法人日本生化学会

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