側頭骨手術の基本 : 外側側頭骨切除術の実際

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<p> 側頭骨悪性腫瘍に対する側頭骨一塊切除術は, 外側側頭骨切除術 (lateral temporal bone resection: LTBR), 側頭骨亜全摘術 (subtotal temporal bone resection: STBR), 側頭骨全摘術 (total temporal bone resection: TTBR) の3つの方法が報告されているが, 実臨床では, LTBR と STBR の二つが主に用いられる. STBR は, 頭蓋底チームが手術対応できる施設でのみ施行可能な術式である. 一方, LTBR は耳鼻咽喉科医単独で施行可能な術式で, 非常に洗練された画一的な手術手技である. 通常の乳突洞削開術を含む耳科手術の手技に加え, 側頭骨鼓室部の骨削除の方法を理解することで, 安全に手術を完遂できる. 本術式は通常の耳科手術に必要な外科解剖と手術手技を学ぶことができるため, 経験の浅い耳鼻咽喉科医にも積極的に関与してもらいたい術式である.</p><p> 手術手技の構成は, 通常の乳突洞削開術に後鼓室開放後の鼓室内操作, 上/前鼓室開放, 後鼓室開放の拡大と側頭骨鼓室部の骨削除などの手技を組み合わせたものとなっている. 通常の耳科手術で馴染みの少ない側頭骨鼓室部の削除が Key となる手技と思われる. 安全に側頭骨の鼓室部の削除を行うためには, 錐体鼓室縫合と鼓索神経の関係, 骨部耳管と内頸動脈との関係, そして下鼓室と vaginal process との関係を正確に知る必要がある.</p><p> 本稿では, LTBR を施行する上で必要な骨学と, 術前の留意点などに加えて, 実際の手術手技の手順について概説する.</p>

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