超音波ビームフォーミングにおける2値化信号から算出する低演算量の一般化コヒーレンスファクタ

  • 久津 将則
    富士フイルムヘルスケア株式会社 東北大学大学院医工学研究科
  • 森 翔平
    東北大学工学研究科
  • 荒川 元孝
    東北大学大学院医工学研究科 東北大学工学研究科
  • 金井 浩
    東北大学大学院医工学研究科 東北大学工学研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Low-complexity generalized coherence factor estimated from binarized signals in ultrasound beamforming

抄録

<p>目的:一般化コヒーレンスファクタ (generalized coherence factor: GCF) を指標としたコヒーレンスに基づいたビームフォーミング (coherence-based beamforming: CBB) では,サイドローブによる不要信号を低減でき,優れたコントラスト対雑音比 (contrast-to-noise ratio: CNR) が得られる.しかし,超音波診断装置の標準的なビームフォーミングである整相加算 (delay and sum: DAS) に比べると,演算量が大きくなるという課題がある.本研究では,GCFの演算量を大きく低減する手法を提案した.方法:我々が以前に提案したGCFrealでは,従来のGCFにおける,プローブの各素子の受信信号に対する解析信号の生成を省略し,演算量を低減できる.本研究の提案法 (GCF estimated from binarized signals: GCFB) では,さらに各素子の受信信号を2値化し,2値化信号からGCF値を算出することで,必要な乗算と加算の回数を大幅に低減する.結果:シミュレーションによって生成した各素子の受信信号と,超音波診断装置でファントムから取得した受信信号を用いて,GCFBとGCFrealの値を比較した.また,これらの値を用いたCBBから得られるBモード像の画質を評価した.GCFrealに比べ,GCFBでは不要信号の低減効果が優れていたが,一方で一様散乱媒質の輝度を低減させる傾向が見られた.CNR向上効果は,両手法でほぼ同等となった.結論:GCFBでは,DASに対して優れたCNR向上効果が得られた.GCFrealとGCFBのCNR向上効果の優劣については,観測対象に依存する可能性があるが,本研究の条件下では,GCFrealとGCFBで同程度の性能が得られた.GCFBは信号の2値化により演算量を大幅に低減できるため,臨床で用いる診断装置への応用が期待できる.</p>

収録刊行物

  • 超音波医学

    超音波医学 49 (6), 503-516, 2022

    公益社団法人 日本超音波医学会

参考文献 (28)*注記

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