日本のモデル生命表の開発と地域別生命表推計への応用――Flexible Model の修正に基づいて――

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タイトル別名
  • Development of Model Life Tables for Japan and Their Application for Estimation of Regional Life Tables: Based on Modification of Flexible Model
  • ニホン ノ モデル セイメイヒョウ ノ カイハツ ト チイキ ベツ セイメイヒョウ スイケイ エ ノ オウヨウ : Flexible Model ノ シュウセイ ニ モトズイテ

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抄録

<p>本研究では,Wilmoth et al.(2012)を踏襲しながら,「日本版死亡データベース」(以下JMD という)の都道府県別生命表を用いて,わが国の1970年以降の著しい高齢死亡率改善に対応した死亡率モデル開発を企図するものである。</p><p>Wilmoth et al. (2012) による “Flexible Two-dimensional Model” (以下,Flexible Modelという)をわが国の近年の死亡率に適用すると,Flexible Model による推計結果は,特に65歳以上の高齢層で推計誤差が大きくなること,またその推計誤差は65歳平均余命の伸長とともに大きくなる傾向を有することが確認される。</p><p>そこで,50歳以上の年齢階級におけるFlexible Modelの推計誤差をモデル化し,これを修正項としてFlexible Modelに加えることによって,わが国の近年における高齢層での死亡率推計を改善した修正モデルを提案した。さらに,この修正モデルをClark(2019a)によるモデルと比較検討を行った。</p><p>本研究で提案する修正モデルを,厚生労働省『2015年市区町村別生命表』の生命表に当てはめたところ,生命表の推計に必要となる(5q0, 45q15, e65)を適切に投入すれば,生命表を高い精度で推計することができることが確認できた。修正モデルについては,一定の検討課題は残されてはいるものの,(5q0, 45q15, e65)という3つの指標の将来推計ができれば生命表を得ることができるという簡便性や,これを用いた将来推計でも,Flexible Model と比較して精度の高い推計が可能との結果も得られたことから,市区町村レベルの将来人口推計にも十分応用可能であり,本研究によって,実用性を備えた,新たなモデル生命表として,修正モデルを提案できたものと考える。</p>

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