ヒト尿中の利尿薬トリアムテレンのダイヤモンド電極を用いた電気化学的検出

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抄録

<p>利尿薬はドーピング違反防止の観点から、禁止薬物に定められている。利尿薬の迅速かつ正確な検出は、選手や審査官の負担軽減のために肝要である。本研究では、バックグラウンド電流が小さく、かつ、耐久性に優れる1%ホウ素ドープダイヤモンド電極(BDD)を電気化学センサーとして利用し、利尿薬の一種であるトリアムテレンの検出を目的とした。尿中の電気化学測定では、0.5 V以上の酸化電位域にて、タンパク質や尿酸、アスコルビン酸等の内因性物質の大きな酸化電流が観察されるため、この電位領域での測定は困難である。そこで、0.5 V以下でのトリアムテレンの酸化還元反応に着目し、トリアムテレンのリン酸緩衝液(PB)中、および尿中での検出を試みた。PB、尿中での0 Vから負電位方向へ電位走査させるサイクリックボルタモグラムより、それぞれ0.1 V、0.2 Vに電流値増大を観測した。0 Vから正電位方向へ電位走査させた際には0.5 V未満の範囲で反応電流が観察されなかったことより、還元されたトリアムテレンが酸化を受けることで0.1 - 0.2 Vの電流値が増大したと推測される。トリアムテレンの測定のために、還元電位-1.5 Vを一定電荷量印加後、PB中では0.1 V、尿中では0.2 Vの酸化電位を印加すると、濃度依存的な酸化電流値増大が観察された。検出限界はPB中で3.15 nM、尿中で7.80 nMであった。</p>

収録刊行物

  • 生体医工学

    生体医工学 Annual60 (Abstract), 145_1-145_1, 2022

    公益社団法人 日本生体医工学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390012801499135872
  • DOI
    10.11239/jsmbe.annual60.145_1
  • ISSN
    18814379
    1347443X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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