鳥類心臓の拡張機能の基礎的解析

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抄録

<p>心臓の拡張機能障害は,増加の一途を辿っており,その対策は喫緊の課題である.我々はこれまでに,心臓進化の観点から拡張機能障害の理解を深めるために,哺乳類と爬虫類を比較し,哺乳類の心臓は爬虫類よりも弛緩能には優れるが,伸展性が制限されていることを明らかにした.そこで本研究では,哺乳類と同様に二心房二心室のニワトリまたはウズラ(鳥類)の左心室の拡張機能を調べ,ミシシッピアカミミガメ(爬虫類)と比較した.まず,ニワトリの弛緩状態の左心室は,カメの心室よりも単位心筋重量あたりで有意に伸びにくかった.ニワトリとウズラの心筋細胞の幅はカメと同程度あったが,サルコメア長はカメよりも有意に短かった.サルコメア構成要素で心筋細胞の伸展性を規定するコネクチン分子の配列を解析したところ,ニワトリのコネクチンは柔軟性に富む領域がカメよりも著しく短く,伸びにくいことが示唆された.また,ウズラの心筋細胞は,哺乳類様のT管膜は存在しないが,カメよりも弛緩もカルシウム排出のスピードも大きい傾向を示した.以上の結果より,鳥類の心臓は,哺乳類と同様に,弛緩能を向上させた一方で,受動的な伸展を制限してきたことが示唆された.</p>

収録刊行物

  • 生体医工学

    生体医工学 Annual57 (Abstract), S77_2-S77_2, 2019

    公益社団法人 日本生体医工学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390012954685860864
  • DOI
    10.11239/jsmbe.annual57.s77_2
  • ISSN
    18814379
    1347443X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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