子ども期における親への援助要請および地域交流の経験と成人期の対人関係の関連

DOI Web Site PubMed オープンアクセス
  • 中村 有里
    東京大学大学院医学系研究科保健社会行動学分野
  • 長谷田 真帆
    東京大学大学院医学系研究科保健社会行動学分野 京都大学大学院医学研究科社会疫学分野
  • 西岡 大輔
    東京大学大学院医学系研究科保健社会行動学分野 京都大学大学院医学研究科社会疫学分野 大阪医科薬科大学研究支援センター医療統計室
  • 雨宮 愛理
    東京大学大学院医学系研究科保健社会行動学分野 京都大学大学院医学研究科社会疫学分野
  • 上野 恵子
    東京大学大学院医学系研究科保健社会行動学分野 京都大学大学院医学研究科社会疫学分野
  • 近藤 尚己
    東京大学大学院医学系研究科保健社会行動学分野 京都大学大学院医学研究科社会疫学分野 東京大学未来ビジョン研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Childhood experiences of seeking parental support, social interactions, and interpersonal relationships in adulthood: a cross-sectional study
  • コドモキ ニ オケル オヤ エ ノ エンジョ ヨウセイ オヨビ チイキ コウリュウ ノ ケイケン ト セイジンキ ノ タイジン カンケイ ノ カンレン

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抄録

<p>目的 人とのつきあいのわずらわしさなど対人関係上のストレスから対人関係や社会的場面を避け,たとえ危機に陥っても他者に援助を求めない傾向が若者を中心に見られている。他者に援助を求める行動には,子ども期に両親に援助を求めた経験が関係することが報告されている。しかし,家族への援助の要請が難しい場合でも,近隣住民との関係の中で,他者に援助を要請するようになることも考えられる。そこで本研究では,子ども期の両親への援助要請の経験と成人期の対人関係の忌避傾向の関連における地域交流の経験による効果の修飾の有無を検討した。</p><p>方法 名古屋市の18~39歳を対象にした調査より,1,274人のデータを分析した。修正ポアソン回帰分析を用いて,子どもの時に父親・母親に対して援助を要請した経験,小・中学校の時の地域行事に参加した経験,およびこれらの交互作用項による対人関係の忌避の割合の比を男女別に算出した。年齢・両親の最終学歴・子どもの時の母親の就労状況および主観的経済状況,もう片方の親への援助要請経験を調整した。また,援助を要請した経験,地域行事に参加した経験それぞれの有無別に対人関係の忌避の状態にある者の割合の予測値を算出し,効果の修飾の有無を評価した。</p><p>結果 父親への援助要請経験と地域行事への参加経験の交互作用項を入れた多変量解析および算出された予測値からは,地域行事への参加経験による効果の修飾は男女とも観察されなかった。母親への援助要請経験に関しては,男性で,地域行事への参加経験による効果の修飾が観察され,母親への援助要請経験があり,かつ地域行事への参加経験があった場合は,なかった場合の予測値よりも低い傾向があった。女性では,地域行事への参加経験による効果の修飾は観察されなかった。</p><p>結論 対人関係の忌避を抑制する上で,とくに男性では,子ども期の母親への援助要請経験があった場合に,地域行事への参加経験があることの重要性が示唆された。親からの適切な援助を得ることに加えて子どもの地域交流を促すことで,将来の社会生活で困難に陥るリスクを緩和できる可能性がある。</p>

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