帯状疱疹に外眼筋麻痺を合併した一例

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タイトル別名
  • A Case of Extraocular Muscle Paralysis Associated with Herpes Zoster Prolonged for More than One and a Half Years

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説明

<p> 三叉神経第1枝(以下,V1)領域の帯状疱疹に合併する眼球運動障害は半年以内に改善することが多いとされているが,今回我々は,80歳女性の帯状疱疹に伴う左眼の外転不全が1年半以上遷延した症例について報告する.10日前より皮膚症状が出現し,近医皮膚科で帯状疱疹と診断され治療するも改善せず,当院皮膚科に紹介となり,同日に当科コンサルトとなった.初診時,強い左眼瞼腫脹と左V1領域に水疱と紅斑を認め,前眼部や網膜硝子体に炎症所見は認めないが,左眼外転不全と内斜視を認めた.複視の強い訴えはなく,明らかな頭蓋内病変や外眼筋の肥厚・炎症所見は認められなかった.経過観察を行い,徐々に眼位は改善したが,左眼の外転不全は発症1年半が経過しても残存した.V1領域の帯状疱疹が外眼筋麻痺を合併した症例は各国から報告されているが,1年以上遷延した症例は稀である.V1領域の帯状疱疹においては,角膜や眼内炎症所見だけでなく,眼位や眼球運動にも注意深い観察が必要であるとともに,眼瞼腫脹が強く患者が複視を訴えない例もあるが,遷延する外眼筋麻痺を伴っていることもあるため,初診時や経過中も必ず評価することが必要であると考える.</p>

収録刊行物

  • 神経眼科

    神経眼科 39 (4), 316-319, 2022-12-25

    日本神経眼科学会

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