肺NTM症患者におけるクロファジミンの薬物動態とQTc間隔との関連

  • Watanabe Fumiya
    明治薬科大学薬物動態学研究室 公益財団法人結核予防会複十字病院薬剤部
  • Hanada Kazuhiko
    明治薬科大学薬物動態学研究室
  • Furuuchi Kouzi
    公益財団法人結核予防会複十字病院呼吸器センター
  • Fuziwara Keiji
    公益財団法人結核予防会複十字病院呼吸器センター
  • Uesugi Fumiko
    公益財団法人結核予防会複十字病院呼吸器センター
  • Hiramatsu Miyako
    公益財団法人結核予防会複十字病院呼吸器センター
  • Yoshiyama Takashi
    公益財団法人結核予防会複十字病院呼吸器センター
  • Shiraishi Yuji
    公益財団法人結核予防会複十字病院呼吸器センター
  • Kurashima Atsuyuki
    公益財団法人結核予防会複十字病院呼吸器センター
  • Ohta Ken
    公益財団法人結核予防会複十字病院呼吸器センター
  • Morimoto Kozo
    公益財団法人結核予防会複十字病院呼吸器センター 公益財団法人結核予防会複十字病院臨床医学研究科

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<p>【目的】ハンセン病治療薬として使用されてきたクロファジミン(CFZ)は、2021年9月に肺非結核性抗酸菌(NTM)症に対して保険審査上認可されることとなった。CFZを使用する際には心電図を定期的にモニターすることが推奨されているが、本剤と薬剤性QTc延長症候群との関連については相反する報告があり一致した見解は得られていない。更にCFZは添付文章上では半減期が10日と記載されており、定常状態に到達するまで長い日数を要するが、本剤によるQTc間隔への影響を長期的にモニターした報告はない。そこで本研究ではCFZの定常状態の血中濃度とQTc間隔との関連性を調査した。</p><p>【方法】複十字病院に入院又は外来治療中でインフォームドコンセントが得られた肺NTM症患者45例を対象とし、前向き観察研究を実施した(UMIN000041053)。評価項目はCFZによる有害事象とし、原因暴露の指標としてCFZの血清中濃度を使用した。採血は1人あたり2~5点をCFZのトラフ付近で行い、高速液体クロマトグラフィー質量分析装置にてCFZ濃度を測定した。CFZ濃度は非線形混合効果モデルを用いて解析し、CFZの定常状態の血中濃度個別予測値とQTc間隔のベースラインからの変化量を相関分析した。なお、本研究は複十字病院及び明治薬科大学より研究倫理承認を受けて実施した。</p><p>【結果・考察】組み入れられた45例の患者のうち43例は50mg/day、2例は100mg/dayのCFZを含むレジメンで治療された。母集団薬物動態解析の結果CFZの半減期は36日と推定され、定常状態に到達するまで144日以上を要することが明らかとなった。CFZの血中濃度が定常状態に到達した後にQTc間隔が測定されていた患者は35例おり、QTc間隔のベースラインからの変化量と定常状態の血中CFZ濃度は有意に相関した(相関係数:0.34、P値:<0.001)。また、本研究ではQTc間隔500mSec以上、又はベースラインからQTc間隔が60mSec以上延長した患者は4例認められたが、いずれもU波の影響が疑われCFZとの関連性は否定的であった。更に本研究コホートではTorsades de pointesを発症した患者はおらず、QTc間隔のベースラインからの増加量は平均±SDで16.5±21 mSecと臨床的に問題とならない程度であった。</p><p>【結論】CFZの定常状態の血清中濃度はQTc間隔と正の相関関係を示したが、投与量50mg/dayのCFZによるQTc延長症候群、及びTorsades de pointesのリスクは低いと考えられた。</p>

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